保護事案への適切な対応等についての質問【令和6年3月文教公安委員会】

目次

保護事案への適切な対応について

 新政未来の小笠原です。
 本日は今年度最後の文教公安委員会ですけれども、質問をしていきたいと思います。
 今年度、本当にいろいろな事件が起こり、年が明けてからもいろいろな事件が起こったんですが、そちらの事案に関して質問していきたいと思います。

 まず1つ目が保護事案への適切な対応についての質問です。

 先日、3月に青森警察署で泥酔の状態で保護されていた男性の方が警察官の呼びかけに応じない状態で発見された。
 そして病院で死亡が確認された、そういった報道がありました。

 その報道の中では、男性が保護された現場で、警察から消防に病院へ搬送を依頼したけれども、救急隊で大丈夫だろうといった判断で搬送はされなかったということでした。
 そして、結果的にその男性の方は亡くなってしまったわけですけれども、昨年の12月にも似たような事案が起こっているわけです。
 だからこそ、報道もされていると思うんですけれども。12月にも青森警察署で保護された男性が亡くなっていると。

 12月に発生してから3か月くらいしかたっていないにもかかわらず、こういった同様の事案が起きて、防げなかったものなのかなといろいろ思ってしまうんですが、それでいろいろ質問していきたいと思います。


【質問①】昨年12月に警察において保護した男性が死亡した事案について、
警察の対応に問題がなかったのか伺いたい。

 まず、昨年の12月に警察において保護した男性が死亡してしまった事案について、警察の対応には問題がなかったのか、こちらを確認したいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 昨年12月31日、青森警察署において保護した男性が死亡した事案に関し、県警察として警察における保護の適否について調査を重ねてまいりました。その結果、警察における保護は適正であったと判断いたしましたが、その理由を御説明いたします。
  • 警察官は、発見場所において被保護者の状態を確認し、救急搬送を要請しております。救急隊到着後は、救急隊と共に被保護者の身体に外傷がないことを確認しています。その後、救急隊において搬送は不要と判断したことから、法律の規定に基づいて保護いたしました。
  • 保護開始後は、適宜、巡回等により被保護者の状態を継続して確認しており、被保護者の異状を発見した際には、直ちに心臓マッサージやAEDにより心肺蘇生を行いつつ、救急搬送を要請しております。
  • 以上のことから、警察における保護は適正であったと判断するに至ったものです。


 発見したときには外傷もなかったし、実際、心肺停止の状態にあっても適切な処置はしていたということで、この12月の事案で亡くなった方の死因というのは何だったんでしょうか。

回答:斉藤生活安全部長
  • 急性アルコール中毒の下、急性循環不全を来し、死亡したものと判明いたしました。


 急性アルコール中毒による循環不全ということですが、この事案を受けて、体制も見直しされたとは思うんですけれども、体制の見直しなども含めて青森県警でどういった対応を取ったのか確認したいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 県警察としては、所要の捜査、調査により、警察における保護は適正であると判断いたしましたが、被保護者が亡くなられた事実を重く受け止め、警察本部の保護業務担当課長等が各警察署を巡回し、保護の規定の再確認と異状発見時の救急搬送要請の徹底を改めて指示したところです。
  • また、警察署においては、警察本部の指示事項について、会議等で署員に周知を図っております。


 対応に関しての周知も今、図っているというところですが、その中でまた3月に起きてしまったんですけれども、3月9日に起きた事案の死因に関しては判明しているのでしょうか。


回答:斉藤生活安全部長
  • 3月9日、被保護者の死因は硬膜下血腫によるものと判明いたしました。
  • 本件事件性の有無、警察官による保護の適否等については、現在調査中となります。

 3月9日のときは硬膜下血腫ということで、つい最近起きたことではあるので、調査中であると思うんですけれども、明らかになり次第、きちんと発表してほしいですし、今回の件に関してもちゃんと対応していただければと思います。

【質問②】一般的に警察において保護する場合の要件や保護を開始した後の
警察の対応について伺いたい。

 次に、一般的に保護に関して、警察において誰かを保護するといった場合に、保護する要件であったり、保護を開始した後の警察の対応というのは、そもそもどういったものであるのか、こちらをお伺いしたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 警察は、個人の生命、身体及び財産を保護する責務を負っており、警察官職務執行法第3条で、
    • ひとつは自分を傷つけ、あるいは他人に危害を及ぼすおそれのある精神的に正常でない状況にある者、
    • ひとつは自らを守る能力がないのに適当な保護者がいないために応急の救護を要する状態にある迷い子、病人、負傷者等については保護措置を取るものと規定されています。
    • このほか、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律など、その他の法律の規定に基づいて実施する保護があります。
  • 一般的に、警察における保護は、責任ある家族等に引き渡すまでの間など、一時的に講ずる措置であります。
    • そのため、保護開始後は速やかに被保護者の家族、知人等に保護の事実を通知し、被保護者の引取りについて必要な手配を行い、適当な保護責任者が見つからない場合には、法令により責任を負う他の公の機関等に対応を引き継ぐこととなります。
  • 被保護者を適当な保護責任者に引き継ぐまでの間は、警察署などにおいて保護することとなりますが、被保護者の状況、保護の場所、その他の事情を総合的に判断した上で、警察官による動静監視により、被保護者の事故防止を図っております。


 今のお話だと大きく3つに区分されるような形だったんですけれども、ここ最近で保護された方たち、被保護者の推移というのは、コロナ禍もあったりしたので、例えば飲酒の保護がちょっと減ったりということもあったりするのかなと思うんですけれども。
 ここ最近の被保護者数の推移に関してお伺いしたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 過去5年間の被保護者数は、令和元年が2,055人、令和2年が1,949人、令和3年が1,986人、令和4年が1,958人、令和5年は1,959人であり、毎年2,000人前後となっています。


 毎年2,000人前後あって、ちょっとびっくりしたんですけれども。
 コロナとかがあってもそんなに変わらないものなのかなと思ったんですが。
 ちなみに昨年の被保護者の保護区分に関して、詳細に人数を確認したいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 令和5年中に取り扱った被保護者の保護区分は、
    • 迷い子、病人、負傷者等として保護した者が1,098人、
    • 泥酔者として保護した者が673人、
    • 精神錯乱者として保護した者が188人であり、いずれも警察官職務執行法の規定を根拠としたものとなります。


 迷い子、いわゆる迷子になるんでしょうけれども、この子たちが結構多いのかなと思いました。
 何かあったときに保護して親御さんとかに引き渡していただけるように、今後もきちんと対応していただきたいと思います。

 最後に、今回の亡くなってしまった事案に関することでお聞きしたいんですけれども。
 警察官による被保護者の方への監視の体制、先ほど動静監視という言葉があったんですが、動静監視の頻度ですね。
 きちんとチェックをして、具合は大丈夫なのかなというのを確認していかないといけないんですけれども。
 そういった頻度であるとかも重要であるので、頻度についてどういったように決めて、どういったように保護された方を監視しているのか、そういった部分に関しても伺いたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 被保護者の動静監視の頻度等の観護体制については、保護に当たる警察官を直接指揮する立場にある保護主任者が被保護者の状況、保護の場所、その他の事情を総合的に判断して決めるものであります。頻度については一律ではなく、被保護者ごとに異なります。


 確かにそのときの状況とか保護された方の状況によって頻度は一律ではないとは思うんですけれども、同じようなことが起きてしまった。
 警察の方々は、医療的な部分では消防の方々がまず判断して、それで大丈夫だと言われて、それで保護されているわけで、その後に起こったことではあるんですけれども。
 この短い期間で同じようなことが起こってしまっているので、消防の方から例えばこういうところに気をつけてほしいみたいな引継ぎとかもあったりするとは思うんですけれども。
 それもケース・バイ・ケースだと思うんですが。
 亡くならないまでも、けがをしてしまったりとか、何か後遺症が残るとか、そういったことが起こると思います。

 年間2,000人近く保護されている方がいらっしゃるので、その中で飲酒の方々というのも5、600人とか700人くらいいて、同じようなことというのがまた起こることもあると思います。
 今後も一層、保護の事案に対しては県警察において適切に対応していただければと思います。

関係機関との連携強化による児童虐待事案への適切な対応について

 また、次に、今回の定例会でもいろいろ各議員の方、質問されたりもしていたんですけれども、児童虐待に関することで、関係機関との連携強化による児童虐待事案への適切な対応について質問したいと思います。

 1月、八戸市で起きた児童虐待、5歳の女の子が母の交際相手に冷水を浴びせられて放置された末に亡くなってしまったと。
 この事案について、児童相談所が被害の女児に関する虐待の通告を受け、そして職員が面談等の対応を行っていたということではあるんですけれども、結果的に女児が亡くなってしまった。
 それまで何度も虐待の報告もあって、それでも適切に対応したという話になっていますけれども、結果的に女児が亡くなってしまった。

 児童虐待の事案は初期の対応というのが本当に重要になってくると思うんです。
 その対応を誤ってはならないと思いますし、それは県警察、そして児童相談所、学校、その他の関係機関も含め、緊密に連携して対応していく必要があると思っています。
 その上で質問していきたいと思います。

【質問①】最近3年間に児童虐待事案で警察から児童相談所に通告した人数を伺いたい。

 最近3年間で、児童虐待事案で警察から児童相談所へ通告した人数について伺いたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 最近3年間の児童相談所への通告人員は、令和3年は703人、令和4年は791人、令和5年は893人であり、年々増加傾向にあります。


 年々増加していって、これは通告された人数ですから、本来見えていない部分というのがもっともっとあるんでしょうけれども。
 今おっしゃった人数で、虐待の種別、身体的なものとか心理的なものとかあると思うんですが、この種別に関しての人数もお伺いしたいと思います。


回答:斉藤生活安全部長
  • 令和3年中は、
    • 児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える身体的虐待が128人、
    • 児童にわいせつな行為をするまたはさせる性的虐待が2人、
    • 長時間の放置や食事を与えないなど保護者としての監護を著しく怠るネグレクトが76人、
    • 児童の面前でのDVや児童への暴言など児童に著しい心理的外傷を与える言動を行う心理的虐待が497人。
  • 令和4年中は
    • 身体的虐待が132人、
    • 性的虐待が3人、
    • ネグレクトが112人、
    • 心理的虐待が544人。
  • 令和5年中は
    • 身体的虐待が165人、
    • 性的虐待が2人、
    • ネグレクトが101人、
    • 心理的虐待が625人となっております。


【質問②】「児童虐待事案に係る児童相談所と警察との情報共有に関する協定書」の実施要領の改正に至った経緯について伺いたい。

 7、8割がDVなどの心理的なものというので、なるほどなと思ったんですが、防いでいくために、警察でも様々な取組をされていると思うんです。
 2019年2月25日に青森の児童相談所と県警察のほうで連携強化に向けた協定を締結されたと思うんです。
 全国でいろんな都道府県警察と児相が協定を結んだということがあるようで、これは何がきっかけなのかと話を伺ったら、2018年33月に起きた目黒の女児虐待です。
 すごくセンセーショナルな内容で、今思い出しても、本当に防げなかったものなのかと思いますし、そうした中でも八戸でも青森でも起きてしまったわけなんですけれども。

 この協定に関しての質問をしたいんですが、児童虐待事案に係る児童相談所と警察との情報共有に関する協定書の実施要領の改正に至った経緯についてお聞きしたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 平成31年2月、県警察は、青森県内の各児童相談所と各警察署が児童虐待に係る情報を共有し、緊密な連携を図り、適切な役割分担の下、児童虐待の早期発見と被害拡大防止に努めることを目的に、児童虐待事案に係る児童相談所と警察との情報共有に関する協定書を作成し、本協定の実効ある運用のための細目である実施要領に基づき運用してまいりました。
  • しかし、改正前の実施要領には、児童相談所長が最終的に必要と認めた情報を警察に提供するとの規定を設けており、この規定を根拠に警察に情報共有されなかった児童虐待事案の中には、このままでは被害がさらに拡大し、より危険な事態に発展する可能性が認められるものもありました。
  • そのため、県警察では、児童虐待の早期発見と被害の拡大防止を図るために、共有すべき情報については、各児童相談所長の裁量に委ねられることなく共有されなければならないと判断し、県と検討を重ね、実施要領を改正するに至ったものであります。


 初動の対応が必要だと思っております。
 今も不十分な点があったから改正に至ったということですが、協定書の内容に関して、もう少し詳しく教えてください。

回答:斉藤生活安全部長
  • 協定書では、平成30年7月の政府の緊急総合対策で示された児童の身体に対する危険性が高い3類型である、
    • ひとつは虐待による外傷、ネグレクトまたは性的虐待があると考えられる事案、
    • ひとつは通告受理後48時間以内に児童相談所や関係機関において安全確認ができない事案、
    • ひとつは虐待に起因して一時保護、施設入所している事案で、保護等が解除され家庭に復帰する事案のほか、警察から照会があった児童等の取扱状況等を児童相談所から警察に提供する情報として示しております。

  • また、協定書では、児童相談所から照会があった児童等の取扱状況などについて、警察から児童相談所に提供する情報として示しております。


【質問③】児童虐待事案へ適切に対応するための県警察と関係機関との連携について伺いたい。

 協定書の中身は分かりました。
 実際に協定を結んでいるということで、児童虐待事案へ適切に対応するため、児相も含めてですが、県警察と関係機関との連携について、どういった取組をしているのか、どういった状況であるのか、そういったことに関してお伺いしたいと思います。

回答:斉藤生活安全部長
  • 県警察では、児童相談所との相互理解と円滑な連携の促進のため、平成29年から段階的に警察官を児童相談所に出向させており、現在、青森市、八戸市及び弘前市の児童相談所に警察官各1名が出向しています。
  • また、昨年5月には、児童相談所との協定に関する実施要領を見直す契機となった児童虐待の早期発見と被害の拡大防止のための連絡会議を主催し、県健康福祉部こどもみらい課長及び県内各児童相談所長に御出席いただき、諸問題等を協議したほか、6月から7月にかけて、青森、八戸、弘前のブロックごとに児童虐待対策に関わる警察官と児童相談所職員の意見交換会を開催しております。

  • さらに、昨年10月には、児童虐待への対処能力の向上を図るために、児童相談所の権限で強制的に住居等に立ち入り、対象となる児童等を探し出す臨検、捜索についての合同研修を実施しています。
  • 県警察では、今後も児童相談所等の関係機関と緊密な連携を保ちながら、児童の命を最優先とした対応を徹底してまいります。


 合同会議をなされたり、また、合同研修などもなされているということですが、実際、児童相談所との合同研修の開催の頻度、どのくらい開いているものなんでしょうか。


回答:斉藤生活安全部長
  • 児童相談所との合同研修は、被虐待児童の迅速、適切な安全確保のため、平成29年度から毎年開催しております。


 毎年開催されているということではありますけれども、そのときによって状況というのも刻々と変わってきますし、実際に700人とか800人、900人近く通告される人数がいる、それも氷山の一角であったりします。
 ほかの業務もある中で、警察だけで対応できない問題なので、今後とも児童相談所であったり、関係機関と密に連携を取っていきながら、子供が虐待で亡くなってしまうようなことを防いでいってほしいと思います。
 小笠原の願いです。
 皆さんそうだと思うんですけれども、本当に防いでいけるように対応していただければと思います。

 それでは、小笠原の質問を終わります。

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