留置事故の防止についての質問【令和6年1月文教公安委員会】
留置事故の防止について
おはようございます。
私からは留置事故の防止について質問したいと思います。
2022年12月に、愛知県の岡崎警察署の留置施設において、留置中の43歳の男性が死亡した事件がありました。
先月、ニュースなどで大きく報道されていたので、皆さんも記憶に新しいと思いますけれども、この男性の死亡の原因は腎不全で脱水症状、そしてまた糖尿病と統合失調症の持病があったようです。
車で外出したときに道に迷ってしまって、事情を聴こうとした警察官に棒を振り回してしまったそうで、それで留置されて、精神疾患の影響でそういうことをしてしまったと言われていますけれども。
この男性が殴ったり蹴ったりみたいなことをされたりして、本当にひどい目に遭った、虐待というか。
どうして今、この時代にまだそんなことがあるのかとニュースを聞いて驚いたのですけれども。
留置されている方にも、もちろん人権があります。
それを無視したような対応は到底許されるものではない。
原因を究明していくためにも、徹底した検証が必要であると思っています。
愛知県警では、適正な留置の管理義務を怠ったとして、岡崎署員9名を業務上過失致死、特別公務員暴行陵虐罪で書類送検をしたと。
当時の署員ら27人を処分したという発表がありましたが、こういった同様の事件、暴行、虐待してしまったとか、そういった事件が入管庁の関連施設でもありました。
留置施設内でのこういった事件や事故は、警察への信頼が大きく損なわれるものです。
そして、業務にも支障を来してくる。
【質問①】最近3年間における県内の被留置者数について伺いたい。
青森県内の警察署にも複数、留置施設が設置されていると思いますが、青森県警における留置業務の在り方を確認していきたいと思います。
まず、最近3年間における県内の被留置者数についてお聞きしたいと思います。
回答:齋藤警務部長
- 最近3年間における県内の被留置者数につきましては、
- 令和3年中は591人、
- 令和4年中は516人、
- 令和5年中は642人であります。
相当数の留置者の方がいたということで、ちなみになんですが、男女別の被留置者数に関してはどのようになっていますでしょうか。
回答:齋藤警務部長
- 最近3年間における男女別の被留置者数ですけれども、
- 令和3年は男性522人、女性69人、
- 令和4年は男性471人、女性45人、
- 令和5年は男性578人、女性64人、となっております。
男性のほうが圧倒的に多いんですけれども、女性の方も一定数いるということで、留置所内における男女別の対応の仕方など、そういった配慮とかも十分になされていますでしょうか。
回答:齋藤警務部長
- まず、本県では、女性被留置者につきましては、青森警察署と八戸警察署の2署において集中留置をしております。法律上も、被留置者につきましては、性別にしたがいまして互いに分離するものとされておりまして、この青森、八戸の2署とも、留置施設内においては、居室、入浴施設、洗濯、物干場は男性と女性で完全に分離されているところであります。
- また、処遇につきましては、
- 青森警察署においては、女性留置担当官が常時勤務しておりまして、女性被留置者の処遇については全て女性留置担当官が行っております。
- 八戸警察署におきましては、女性留置担当官が日中のみ勤務しておりまして、女性被留置者が就寝準備を終えるまでは女性の留置担当官が処遇を行いまして、その後、夜間は男性勤務員が複数で巡視などを行っております。
- 女性被留置者の居室の鍵につきましては、女性被留置者が就寝準備を終えた後に、当直責任者に引継ぎし、当直責任者が責任を持って保管管理に当たることとなっております。
女性に対しても男性と分けた形で対応していることが分かりました。
ただ、今、青森、八戸の2署だけということだったので、女性の被留置者の方々、今のところは男性よりも少ないですけれども、増えていったときに、青森と八戸では足りないとなった場合は、また改めて対応なども考えていただければと思います。
【質問②】戒具の種類と、具体的にどのような状況下において使用するのか伺いたい。
また、先ほどの愛知県岡崎警察署での事件では、この男性は戒具と呼ばれる拘束具で計144時間拘束されていたと。
ただ、当時の署長は男性が留置されていた留置所を一度も見回りもしなかったし、様子の確認も怠っていたと聞いています。
青森警察署でもそういった拘束具、戒具を使用する場面があると思いますけれども、戒具の種類と、それらの戒具は具体的にどのような状況で使用されるのかお聞きしたいと思います。
回答:齋藤警務部長
- 戒具の種類ですけれども、捕縄──要するに縄状のものでございます、それから手錠、それから大声を出すのを防ぎます防声具、それと拘束衣の4種類ございまして、これら戒具を使用する要件は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律により定められております。
- まず、捕縄及び手錠については、被留置者を護送する場合または逃走すること、自身を傷つけ、または他人に危害を加えること、留置施設の設備、器具その他のものを損壊することのいずれかの行為をするおそれがある場合には、捕縄または手錠を使用することができ、状況により併用もできることとされております。
- また、防声具につきましては、保護室が設置されていない留置施設において、被留置者が留置担当官の制止に従わず大声を発し続け、留置施設内の平穏な生活を乱す場合において、ほかにこれを抑止する手段がないときは、法律上の留置業務管理者であります警察署長の命令により防声具を使用することができることとされております。
- この場合、被留置者が防声具を取り外したり損壊したりすることを防ぐため、必要があるときは防声具の使用と同時に捕縄または手錠を使用することができることとされております。
- 拘束衣につきましては、被留置者が自身を傷つけるおそれがある場合において、ほかにこれを防止する手段がないときは、警察署長の命令により拘束衣を使用することができることとされております。
- ただし、拘束衣につきましては、捕縄、手錠または防声具と同時に使用することはできないこととされております。
いろいろな種類の戒具があることが分かりました。
ちなみになんですけれども、今回の愛知県の事件では144時間拘束されていたとありますが、拘束する時間というのは警察のほうで任意に決めたりすることができるのでしょうか。
それとも時間というのが定まっているとか、状況に応じて判断するとか、そういうものがあったりするのでしょうか。
そちらをもしお答えできそうであればお願いいたします。
回答:齋藤警務部長
- 戒具の使用期間につきましてお答えいたしますが、法律上、拘束衣及び防声具の使用期間は3時間とされております。
- ただし、拘束衣の使用につきましては、警察署長が特に継続の必要があるときは通じて12時間を超えない範囲で、3時間ごとにその期間を更新し使用することとされております。
- 捕縄及び手錠につきましては、法律上、使用期間というのは定められておりませんが、おおむね3時間を基準として、長時間にわたり使用することがないように配慮しております。
本来はそういった時間とか基準とかもあるということで、愛知県で起こった事件というのは本当に逸脱してしまった事件であったということが分かります。
やむを得ない事情で戒具を使われることがあると思いますが、身体の拘束は、体に大きな負担をかけますし、人間の尊厳にも関わる話ですので、使用の際には青森県警でも十分に気をつけてほしいと思います。
【質問③】被留置者の病気や体の不具合に関する署員間での情報共有方法と、投薬の服用方法について伺いたい。
続きまして、またこれも愛知県の事件を受けてのことなのですが、勾留中だった男性が絶食状態で水分不足であったにもかかわらず、医師の診療を受けさせずに放置して、そして急性腎不全で亡くなってしまったと。
また、糖尿病や統合失調症もあったのに、薬も適切に投与されていなかったと。
これは端的に人命軽視であったと思いますけれども、青森県警でもちゃんと対応しているのかと。
そこで、青森県警では被留置者が病気や体の不具合があるときに、署員の間でどのように情報共有しているのか、また、被留置者に対しての投薬の服用方法などはどのようにしているのかお聞きしたいと思います。
回答:齋藤警務部長
- 被留置者の留置に際し、まず、被留置者の健康状態を把握する必要がありますので、留置の開始に際して、被留置者から疾病、外傷等の有無その他の健康状態について事情聴取し、被留置者に関する関係書類に記録をして、署員間で情報共有を図っているところです。
- また、留置中の被留置者については、常に健康状態に注意を払い、体調不良を認めた際には、病院への診療護送や医師の往診を要請するなど、必要な措置を講じているところです。
- このような被留置者の健康状態の変化なども、その都度、関係書類を記録して、署員間での情報共有を徹底しているところです。
- 次に、薬の服用ですけれども、被留置者に服用させる薬は、応急的に与える市販の常備薬のほか、留置開始後に医師が診断して処方したものに限っております。また、薬を服用させる際は、被留置者が薬を服用したふりをして密かにため込み、まとめて服用して自殺を図るということを防ぐために、留置担当官の面前で服用させて、服用したかどうかは舌を出させて口の中を確実に点検するということをしております。
きちんと健康状態を確認して、病気の有無を確認し、服用方法などに関しても徹底しているということが分かりました。
本当に愛知のような例がないように、徹底して気をつけていただきたいと思います。
【質問④】地震や火事等有事が発生し、留置施設の使用が困難となった場合に
おける被留置者の避難方法について伺いたい。
最後にお聞きしたいのは、今月1日に石川県能登半島で地震がありました。災害はいつ起こるか分かりません。
この災害の影響というのは、もちろん、留置所にも及びます。
被留置者の方は自分から脱出したり避難したりすることができないわけですけれども、そういったときのために、地震や火事など有事が発生したときに、例えば留置施設の使用が困難となった場合など、そういったときの被留置者の避難方法などは、青森県警ではどのようにしているのかお伺いしたいと思います。
回答:齋藤警務部長
- 災害等発生時において留置施設の使用が困難となった場合における被留置者の避難ということですけれども、関係法令におきまして、
- 警察署長は地震や火災その他の災害に際して、留置施設内において避難の方法がないときは、被留置者を適当な場所へ護送して避難させなければならないこと、
- また、それができない場合には、被留置者を留置施設から解放することができること、
- さらに非常の場合に対処するための計画を策定し、必要な訓練をしなければならないこと、などが定められております。
- これを受けまして、本県におきましても、関係警察署において災害等が発生した場合に備えて避難場所その他円滑な避難を確保するために必要な事項などを定めました非常計画を策定しておりまして、有事の際はこの計画に従って的確に対応できるよう、平素から教養、訓練を行っているところであります。
非常時、有事の際の計画もきちんと立てている、訓練もされているということが分かりました。
災害はあしたにでも起こるかもしれない、本当にいつ起こるか分からないので、留置中に限った話ではないですけれども、十分に何かあったときにすぐに対応できるように、日頃から留意していただければと思います。
そして、冒頭の話に戻りますが、ニュースのことを思い出すと本当にとんでもないなと思ってしまいます。
決して人権、人命を軽視するようなことがないように青森県警でも十分に気をつけていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
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