一般質問【令和6年6月第318回定例会】

目次

質問に先立って

 ここ最近、地方に関わる大きな話題がありました。

 まず、民間の有識者グループ「人口戦略会議」による消滅可能性自治体の話です。
 青森県内の市町村を含めた744の自治体が2050年までに20から30代の女性が半減して、最終的には消滅する可能性があると。10年くらい前にも似たような議論が話題になりました。
 確かに直視すべき内容ではありますが、若年女性が半減するという推計だけで消滅を言うのはおかしいと思います。
 自治体を構成員として、若年女性以外の年齢層の女性、男性だっています。
 どうも自治体の再編であったり、道州制の導入の布石にしたいのかなといろいろ勘ぐってしまいます。 

 また、先日の国会、衆院でも可決された地方自治法の改正案。
 感染症 の大流行や大規模災害の発生時などの国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合、個別の法律の規定がなくても国が自治体へ必要 な指示を出せるようにしました。
 では、個別の法律に規定がない想定外の具体的事態とは何か。
 それは想定外であるから分からないという。
 指示権発動の要件が極めて曖昧で、ふわふわしています。そんなことがまかり通ってよいのでしょうか。
 地方の具体の事情は、その地方こそが分かっているはずで、重大な事態があったときに首長がしっかりしていればいいんです。
 しかし、自治体を飛び越えて国が指示を出すと。

  この2つに共通するのは、地方切捨て、中央集権の体制がまた高まっているのではないかということです。
 中央の立場で県や地域の活動が少ないからこうなったんだといった発言や言説があったりするのも、いまだに地方は中央に従属するものだという認識が社会に根強いからなのだと思います。
 本来は国も都道府県も市区町村も対等な立場です。
 一緒に何かするにしても、従属ではなく、協力関係のはずです。 

 昨日は東京都知事選の告示日でした。
 東京都の人口は1400万人、青森の12倍近い。
 あまりにもいびつになってしまった東京超一極集中を、この青森から何とか打破していかなければいけない。
 そして、中央集権の風潮にも抗っていかなければならない。
 そうした思いを根っこに、所感を交えながら一般質問を行っていきます。 

観光地域づくりの取組について

 三月に会派で滋賀へ視察に行きました。
 そこで琵琶湖であったり、また、温泉地域であったり、いろいろと見て話を伺ってきました。
 確かに琵琶湖は壮大で、おごと温泉と言われる地区の事業者の皆さんは、みんなで地域を盛り上げようと連携し、腐心されていた。
 地域を盛り上げるのだという地元事業者の皆さんの思いは、青森ももっと頑張らないとなと思わされました。 

 ただ、観光の資源で負けているのかと思ったら、全くそのようには思いませんでした。
 青森県内には温泉が各地にある、祭りがある、自然も豊かだ。
 様々な資源を持ち合わせた地域の特性に合わせて、その地域独自の資源を生かして地域を盛り上げていく。
 また、事業者同士でも協力し合って、ほかにはまねのできない差異化された観光を目指すことが、観光場所として本県を選んでもらうことが重要であり、地域と観光の共生も図れるのではないかと思います。 

【質問①】 地域資源を生かした観光地域づくりに県はどのように取り組んでいるのか伺いたい。   

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 私は、本県が世界とつながり、世界から選ばれる観光地になるためには、自然、文化、食など、本県の強みを生かした観光コンテンツを整備することで観光客の満足度を高めるとともに、持続可能な観光地域づくりを進めることが重要であると考えております。
  • このため、今年度は世界遺産白神山地、十和田八幡平国立公園、三陸 復興国立公園など、本県が世界に誇る雄大な自然の中で行う登山やトレッキングなどの体験メニューを充実させ、アウトドアスポーツツーリズムの確立に取り組んでおります。 
  • また、県内での滞在時間の拡大に向けて、市町村やDMOと連携し、祭りなどの地域資源を活用しながら、連泊につながる観光コンテンツの開発や磨き上げも進めているところであります。
  • さらに、持続可能な観光を推進するため、地域の事業者が共同で行う送迎等の取組や、宿泊施設が行う環境に配慮した取組への支援などを行ってまいります。 

地域資源としての温泉熱の活用について


 先ほど少し温泉の話に触れましたが、青森県は自然エネルギー資源の宝庫であります。
 風や太陽光が取り上げられていますが、豊富に温泉資 源を持つ青森は、もっと温泉熱などが議論されていいと思っています。
 県内の各温泉地区で温泉熱資源について一度は調査されていると思いますが、技術や環境なども日々変化があるため、今後、積極的な温泉熱活用を進めていってもよいのではないかと思います。 

【質問①】地域エネルギーとしての温泉熱の活用に係る県の取組について伺いたい。 

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 積雪寒冷地である本県では、冬期間の暖房や融雪などの熱需要にかけるエネルギーコスト及び化石燃料の削減が重要な課題となっております。
  • このため、昨年9月に公表した自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想にも掲げたとおり、地熱、地中熱や温泉熱などの熱利用も含めてエネルギーの地産地消を進め、環境と経済の好循環による地域の持続的発展につなげていきたいと考えております。 
回答:環境エネルギー部長(坂本敏昭)
  • 県では、地域の温泉資源を熱エネルギーとして効率的に活用するため、平成29年度、30年度の2か年で温泉熱水を温度に応じて暖房や融雪、ハウス栽培など、様々な用途に段階的に活用する温泉熱カスケード利用モデル構築事業を風間浦村下風呂地区及び弘前市常盤野地区において実施いたしました。 
  • また、令和3年度には、熱利活用の普及を図るため、温泉熱、地熱、 地中熱など、様々な未利用熱の県内での利活用事例や専門家の解説、また、国の補助金等を掲載した熱利活用事例集を作成いたしたところであり、この事例集を活用するなど、多くの方々に熱の利活用への関心を持っていただきたいと考えているところであります。 

【質問②】温泉熱を含む地域エネルギーの活用推進に当たっては、地域の金融機関との連携が重要と考えるが、県の取組について伺いたい。  

回答:環境エネルギー部長(坂本敏昭)
  • 県では、地域エネルギーの活用推進に当たり、地域の金融機関を含めた県内の産学官金の有機的な連携によるネットワークづくりが重要であると考えまして、平成24年度に青森県再生可能エネルギー産業ネットワーク会議を立ち上げております。 
  • 令和6年3月末現在で、県内企業を中心にいたしまして287の団体、企業が参加し、会員相互の情報共有を図るため、ウェブサイトの開設やメールマガジンによる配信、テーマに応じたフォーラムや視察研修会を開催していますが、過去におきましては、このネットワーク会議の会員でもあります日本政策金融公庫による同会員を対象とした低利・ 長期融資を行った実績もございます。
  • 県といたしましては、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い本県 におきまして、引き続き、産学官金のネットワーク強化を図りながら、 多様な再生可能エネルギーの導入による新たなビジネスチャンスの創出を支援していきたいと考えています。 

中小企業の受注機会の拡大について 

 日本の中小企業の割合は、日本の全企業の99%を占めています。
 つまり、ほとんどが中小企業です。
 従業員数も日本の全企業の中で7割くらいを占めています。比重が非常に大きいわけです。

 地方の企業はほとんどが中小企業で、ここが元気にならなければ地方の元気が出てくるわけがない。
 企業を誘致することも大切ではあるかもしれないが、その地方で企業が生まれ、育ち、元気にならなければ根本の解決にはならないと思います。
 売上げの大部分は県外に行ってしまうのです。 

 そうした中で、中小企業振興基本条例などを定め、条例を生かして中小企業の振興を推進していく地方自治体があります。
 青森県においても 中小企業振興基本条例があり、これは議員提案の条例であると聞きました。
 改めて先輩議員の方々に敬意を示したいと思います。

 そして、自治体と中小企業が協力し合い、この地域内で経済が循環していく構造をつくり上げていく、資本が再投資されるような仕組みをつくっていく必要があります。
 例えば、県の発注の事業などが県外企業ばかりに受注が行く、大手広告代理店に中抜きされるなど、そうしたことを防がなければいけません。 

【質問①】県内中小企業の受注機会の拡大に向けて、県はどのように取り組んでいるのか伺いたい。 

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 本県経済が持続的に発展していくためには、本県産業の重要な役割を担っている中小企業の受注機会を拡大することが重要であると考えております。
  • このため、県では、21あおもり産業総合支援センターと連携し、首都圏等の発注企業に対し、自社製品や技術力等アピールすることができる商談会を開催しているほか、受注、発注をそれぞれ登録いただいた企 業に対し、企業紹介、取引案件のあっせんを実施しています。 

【質問②】地域内で経済を循環させていくためには、公的な機関の発注において、中小企業への発注割合を高めることが必要と考えるが、県の取組について伺いたい。  

回答:経済産業部長(三浦雅彦)
  • 中小企業の受注機会の拡大に向けて、国では毎年度、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第四条の規定に基づき、中小企業者に関する国等の契約の基本方針を定めるとともに、県や市などの地方公共団体に対して、基本方針に準じた措置を講じるよう要請しているところです。 
  • 県では、この契約の基本方針に基づいて、各部局及び市町村に対する周知徹底を図り、中小企業者が受注しやすい発注とする工夫や、実勢価格等を踏まえた適切な予定価格の作成など、中小企業への発注割合を高めるよう取り組んでいます。

【再質問】県の発注等における地域貢献を検証するためには、県内中小企業への発注状況の推移などを取りまとめて公表することが重要と考えるが、県の見解を伺いたい。   


 政令指定都市である横浜市の例なんですけれども、中小企業振興基本条例に基づいて、工事、物品、委託のおのおのの分野別、そして部署別で横浜市と横浜市内の中小企業の契約の実績であったり、発注状況の推移を公表しているんです。
 分野別、部署別の発注状況を年次できちんと公表して比較できるようにすることで、改善点であったり、地域貢献の度合いも把握できると思うんです。
 これは380万近い人口の横浜市でもできているということで、青森県においても、県の発注等においてどれくらい地域貢献 ができているのかを検証するために、県内中小企業への発注状況の推移などを取りまとめて公表することが重要ではないかと考えます。

回答:経済産業部長(三浦雅彦)
  • 国では、中小企業の受注機会の拡大に向けて、各地方公共団体における中小企業への契約実績額等を取りまとめ、公表しているところです。公表に当たりましては、本社の所在地にかかわらず、各地方公共団体 における中小企業への契約実績額等を取りまとめていることから、県内に本社を有する中小企業に特定した発注状況については把握していないところであり、取りまとめて公表することは困難な状況でございます。
  •  県といたしましては、今後とも、県内中小企業の受注機会の確保に積 極的に取り組んでいきたいと思っております。 


 一応、官公需で国へ報告するために、県内外を含めた中小企業の発注状況を取りまとめていると。
 今、ちょっと困難であるということだったんですけれども、先ほども話しましたが、380万近い横浜市でもきちんとできているわけです。
 県内外を含めた中で取りまとめて、その中で、やっぱり県内の企業がどれくらいあるのか、 全然割合が違っているというわけでもないと思うんです。
 県外の中小企業、例えば100あるうちの10とか、20かもしれないですし、きちんと割り出していくことというのは、手間がかかるかもしれないんですけれども、可能なはずだと思うんです。
 こちらはぜひ検討していただきたいと思います。 

県発注工事における県内企業との契約について  

 先ほどの項目とも関わってくる話ですが、県発注工事における県内企業との契約についてです。 

 公共工事の額というのは非常に大きいわけです。
 こうした工事が大手ゼネコンにばっかり流れてしまっては仕方がない。
 何もこの地域での経済循環は起こらないわけです。
 東京にあるゼネコンの本社ビルがすくすく育つだけです。

 県内の業者がきちんと受注できているか、また、受注率を高める仕組みなどがどれくらい整えられているのか確認せねばなりません。 

【質問①】県発注工事における県内企業の受注状況と推移について伺いたい。

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 昨年度における県発注工事に占める県内企業の受注状況は、件数ベースでは、全契約件数2183件のうち、2077件が県内企業の受注件数で、その割合は約95%、金額ベースでは、全契約金額合計約980億円のうち、約893億円が県内企業の受注金額で、その割合は約91%となっております。
  • 過去3年で見ると、件数の割合は96%前後、金額の割合は94%前後でそれぞれ推移しております。 

【質問②】県内企業の受注率を高めるための取組について伺いたい。 

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 県内企業の受注機会を確保するための取組として、県発注工事では、工事の規模及び技術的難易度等から県内企業単独での施工が困難と認められる工事を除き、原則として県内企業を対象として発注しています。
  • また、一つの工事について、専門工種ごとに分ける分離発注や、複数の工事に分ける分割発注に努めています。 
  • なお、県内企業単独での施工が困難と認められる工事であっても、県外企業と共同施工することが可能なものについては、県外企業と県内企業の共同企業体を入札の参加条件とする発注をしております。 

【質問③】県発注工事における適正価格での契約のための県の取組について伺いたい。

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 県発注工事における適正価格での契約のためには、資材物価等の動向を踏まえた適正な予定価格の設定とダンピング対策が重要であると考えています。 
  • 県では、適正な予定価格の設定のため、労務単価については、毎年1回、国から示される労務単価を速やかに適用させるとともに、建設資材単価については、市場取引価格に1円以上の変動があった場合、翌月に単価改定しております。 
  • また、元請企業が著しく低い価格で受注するダンピング受注により、 下請企業や労働者へのしわ寄せが生じないよう、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を導入し、それぞれの基準を国の基準より高く設定して運用しております。 

【再質問】建設工事における下請企業の適正な人件費等の確保の取組として、賃金条項を有する公契約条例の制定も方法の1つと考えるが、県の見解を伺いたい。    

 先ほどの答弁で適正価格の契約のためにきちんと考えて取り組まれていることが分かりました。
 今後も落札率の向上に努めていってほしく、より下請の人たち、今、元請の業者とはきちんと取決めをしているということですが、そしてダンピングも防いでいくということなんですけれども。

 公契約条例というものがあるんですが、下請の業者に対して二次請け、三次請けとなっていったとしても、県で賃金条項をきちんと定めた形で公契約条例を定めていく、人件費、労務費が削られていかないように県としてきちんと定めていく、公共事業に関して下請を含めて適正な価格を設定していく、一定の賃金を確保できるようにするための制度として公契約条例はあるんですけれども。
 市、町、区 の単位で導入している自治体は増えてきていますが、都道府県単位ではまだまだ少ない状況です。 

 岩手県などでも公契約条例が定められている状況ではありますが、賃金条項が含まれない理念的な公契約条例にまだとどまっている状況です。
 青森県内でも、八戸市であったり、おいらせ町も公契約条例が定められていますが、同様に賃金条項としての公契約条例ではないんですね。
 全国の都道府県に先駆けて、青森県で定めてはどうかなと思います。

 建設工事における下請企業の適正な人件費等の確保の取組として、賃金条項を有する公契約条例の制定も方法の1つと考えますが、県の見解を伺います。

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 今月14日に公布された建設業法等の一部改正法では、労働者の処遇改善が改正の柱の1つとなっております。この目的の達成に向けて、労務費等を確保し、これが下請企業にも行き届くよう、中央建設業審議会において、労務費の基準を作成する、受注者及び発注者の双方に対して、著しく低い労務費等での見積書の作成や変更依頼を禁止することなどが規定され、今後施行されることとなります。下請企業の適正な人件費等の確保に向けては、公契約条例の制定も方法の1つと考えられるものの、県といたしましては、国や他の都道府県 の動向も踏まえつつ、今回の法改正に基づく新たな対応を軸として取り組んでまいります。


 現在、国のほうでもそういった方向への法案が審議されていく、そうしたことを注視していくとのことですが、その法案で定められる労務費、賃金の基準が本当にどうなっていくのかというのが大事なところになってくるので、こちらは私としても注視していきたいと思っています。 

水道管の老朽化及び耐震化について

 昔、青森市の横内浄水場の水道水が日本一おいしい飲み水だと評価されたことがありました。
 厚生省が開催した利き水会で、全国12地区の水の中から最高評価を受けたそうです。
 私も小学生の頃に横内浄水場へ見学に行った際に聞かされたのを覚えています。
 今は浄水の技術が発達して、全国どこで飲んでもまずい水道水などはそうそうないと聞きますけれども、それでも、今、青森の水道水を飲んでもおいしく感じますし、 安心感があります。 

 その水道ですが、先日、テレビで水道の課題に関する特集をちょうど見る機会がありました。
 「水道クライシス」という少し物々しいタイトルだったのですが、その中で全国の老朽化率や耐震化率も掲載されていて、青森県内の自治体でも老朽化率が高い、また、耐震化率が低い自治体の水道があり、これは大丈夫なのだろうかと思ったわけです。

 人間が生きるために水は絶対的に必要です。水道水は要です。
 能登半島の地震では、一時、11万4000戸が断水し、いまだに復旧できていない地域も存在するようです。
 飲料水をいつでも安全に供給できる体制を整 えていかなければいけません。 

【質問①】県内の水道事業における水道管の老朽化及び耐震化の状況について伺いたい。 

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 県内の水道事業における水道管の延長は合計で約1万キロメートルとなっており、このうち法定耐用年数の40年を超える、いわゆる老朽管の割合は、令和3年度末時点において21.2%となります。これは、 全国平均の22.1%を0.9ポイント下回っております。 また、耐震化が必要な主要な管路のうち、耐震適合性を有するものの割合は、令和四年度末時点において46.6%となります。これは、全国の42.3%を4.3ポイント上回っております。 
  • 対策が十分に講じられていない要因の1つとしては、全国的に老朽化 対策及び耐震化対策を上回るペースで大量の水道管について更新時期が到来していることが挙げられ、本県においても同様の傾向にあると考えられます。 

【質問②】県内の水道事業におけるアセットマネジメント計画及び耐震化計画の策定状況について伺いたい。  

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 県内の水道事業には、上水道事業、水道用水供給事業及び簡易水道事業の合計59事業があり、このうち長期的な視野で計画的に資産管理していくためのアセットマネジメント計画については52事業で策定され、策定率は約88%となっております。 
  • また、耐震化計画については23事業で策定されており、策定率は約39%となっております。 

【質問③】水道管の老朽化及び耐震化について、県はどのように取り組んでいくのか伺いたい。 

回答:県土整備部長(古市秀徳)
  • 水道管の老朽化及び耐震化について対策を進めていくに当たっては、 アセットマネジメント計画及び耐震化計画が未策定となっている水道事業者については、これら2つの計画の早期の策定が必要であり、また、計画策定済みの水道事業者については、これら2つの計画に基づいた対策を着実に実施するほか、必要に応じて計画を適切に見直していくこと が重要となります。 
  • 県としましては、計画未策定の水道事業者に対して速やかな計画の策定を促すとともに、引き続き、水道事業者の実施する水道管の老朽化及び耐震化の取組について、助言、指導を行ってまいります。 

本県における外国人向け支援について 

 青森県内に住む在留外国人の方は、昨年6月末時点が新しい情報となるのですが、7614人と過去最高を更新しました。
 ベトナム出身の方が一番多く、次いで中国、フィリピン、韓国と続くようです。
 肌感覚でも本当に増えたなという感じがあります。
 つい先日も、私がコンビニに入ったときに、胸元にネパールと書かれた方が従業員として対応してくれました。

 本県においての外国人相談窓口がアスパムの2階のラウンジにあります。
 相談窓口にはいろんな外国人向けのパンフレットや日本語を学ぶための本などが置いてあります。
 1階からエスカレーターを上がってすぐですので、皆さんぜひ行ってみてください。 

 それで、本県に住む外国人が増えているということは、外国人の方々の相談件数なども増えているんじゃないかと思います。
 役所など行政の相談窓口は、母国語同士でも専門性が求められます。
 きちんと理解ができていなければ対応ができないと思います。
 例えばですけれども、相談が来て、それに関しては役所のどこどこの部署が担当ですよ、ですので、こちらへどうぞといったように、いきなり相談窓口、よろしくねと頼まれたとしても難しいわけです。
 これがまして外国人の方を対応するということになるんですね。
 日本語ではなく、外国語を聞きながら。
 そうなると、そもそもその相手の方はどんな機関が存在しているのかすら分からないかもしれない。
 県の外国人相談窓口が相談を受けて、その場で解決するのではなくて、相談を受けた上で、適切な場所へ割り振るためのワンストップの窓口だといっても、これは付け焼き刃では対応できません。 

 今年から出入国在留管理庁、いわゆる入管庁にて、生活上の困り事を 抱える外国人を適切な支援へつなげることのできる人材、外国人支援コーディネーターの養成研修を行うこととしました。
 これから本県においても、さらに外国人の方々の相談が増えていくことが予想される中で、こうした専門性を持った人材、研修を受けている人材が求められると思います。 

【質問①】外国人住民向け支援について 

青森県外国人相談窓口の取組状況について伺いたい。  
回答:観光交流推進部長(齋藤直樹)
  • 県では、外国人が本県で生活する上で必要となる情報の提供や、関係機関への取次ぎなどの利便性を向上させるため、令和元年11月に青森県観光物産館アスパム二階に青森県外国人相談窓口を開設しました。 
  • 窓口では、生活相談員と通訳相談員により、曜日ごとに英語や中国語など5か国語で相談を受け付けているほか、簡単な相談や急ぎの相談ニーズにも対応するため、電話やSNSでの相談にも応じているところです。 
  • 昨年度の相談件数は498件で、主な相談内容は、多い順に雇用や労働、在留手続、子供の教育などとなっています。
  • また、国籍別では、 フィリピン、中国の相談者が多くなっています。 
外国人相談窓口に従事する外国人生活相談員の専門性向上に、県はどのように取り組むのか伺いたい。   
回答:観光交流推進部長(齋藤直樹)
  • 県では、生活相談員の対応能力の向上を図るため、専門家を講師に外国人の在留に係る制度や外国の文化、習慣などをテーマとした研修を毎年実施しているところです。 
  • また、より専門的な相談にも対応できるよう、出入国在留管理庁が本年8月から新たに実施する外国人支援コーディネーター養成研修に本県の生活相談員を参加させ、相談内容ごとに適切な相手先に円滑につなげる能力等のさらなる向上を図ってまいります。 

【質問②】災害関連情報を外国人向けにどのように提供しているのか伺いたい。   


 災害は、暦に関係なく、また、国籍なども関係なく突然襲ってきます。
 本県は、地震であったり、津波、洪水、雪崩をはじめとした雪害、また、原発事故なども起こる可能性があります。
 外国人の方々へきちんと届く体制であるのか。

回答:危機管理局長(豊島信幸)
  • 県では、気象警報の発表状況や地震の発生状況などの災害関連情報を周知するため、インターネットであおもり防災ポータルサイトを公開しております。こちらは、英語、韓国語、中国語でも表示できるようにしております。 
  • また、災害から身を守る方法や災害への備えなどを内容としたあおもりおまもり手帳については、ホームページ上で英訳版を公開しております。

【質問③】観光事業者向けに、災害時における外国人観光客への対応マニュアルを作成するべきと考えるが、県の見解を伺いたい。 

 本県への外国のクルーズ船の寄港は、本年が今までで最多、青森港開港400年に向けて、今後もますます増えていくことでしょう。
 また、県としても、インバウンドにより一層力を入れていく方向です。
 しかし、さきの質問でも取り上げたように、災害はいつ起こるか分からない。
 外国人観光客の方々は、ふだんは日本に、そして青森にいないわけです。
 観光中でもありますので、パニックが起きてしまうかもしれない。
 迅速に対応できなければいけないのです。

 災害時にそうした外国人の方々に対応するのは、自治体ももちろんそうですが、観光に携わる事業者でもあるわけです。
 そして、調べてみると、本県ではまだ観光事業者向けの災害時における外国人観光客への対応マニュアルといったものが整っていないようです。
 そのため、こうしたマニュアルを早く定めて配布、周知などして、また、訓練や研修などもしていく必要があるのではないかと思います。  

回答:観光交流推進部長(齋藤直樹)
  • 県では、県内において一定規模の災害が発生、または発生することが想定される場合、英語、中国語、韓国語の県観光情報サイトや外国語版SNSを活用し、外国人観光客向けに災害に関する情報を発信しています。 
  • あわせて、市町村やDMO、宿泊施設と連携して外国人観光客の情報収集や、必要に応じて在日大使館や領事館との連絡調整を行うこととしています。 
  • 訪日外国人の増加に伴い、本県を訪れる外国人観光客も一層増加が見込まれることから、引き続き、外国人観光客向けの情報提供を適切に行うとともに、観光事業者向けの災害時の外国人観光客対応マニュアルの作成につきましては、他県等の事例や県内市町村の災害への対応等を踏まえながら、必要性を検討してまいります。

性の多様なあり方に関する理解の促進について

 LGBT理解増進法が成立、施行されてから約1年がたちました。
 まだまだ議論が尽くされなければいけなかったとは思いますが、この理念法が制定されて徐々に多様な性の在り方に関して社会の理解が進んで いる気がします。

 一方で、性的マイノリティーに対するヘイトや誤った理解が跋扈しているのもまた事実であります。
 SNSなどで一部の過激な例などが取り上げられる、また、誤った認識や解釈の投稿がされて拡散されていく、人間は男と女が本質なのであるから、それ以外の性的指向は誤っている、それは病気だ、それは変態だと。
 タイは性別が18個あると言います。
 そうしたことを言う方々は、タイという国はおかしな国だとも言いたいんでしょうか。

 性的マイノリティーの方々が一体あなたに何の迷惑をかけたのか。何もしていない。
 いろんな性の在り方がある、それを素直に受け止める、それが多様性だと思います。
 差別する、ヘイトをするのも多様性じゃないか、そうしたことを言う方がいますが、多様性を潰していってしまう、また、危害を加えていく言説を認めるわけにはいかないと思います。
 差別やヘイトには抵抗していかなければいけないと思っています。
 本県でも引き続き、性の多様な在り方、多様な人の存在を受け止めて支えていけるよう取り組んでいってほしいと思います。 

【質問①】青森県パートナーシップ宣誓制度の実施状況について伺いたい。  

回答:こども家庭部長(若松伸一)
  • 令和4年2月の制度創設から本年5月末までに11組が宣誓を行っております。このうち2組は、利便性向上のために導入したオンラインでの本人確認により、県庁に来ていただくことなく手続をされました。 
  • 県では、宣誓を行った方に交付する受領証の提示により利用できるサービスの拡充に向けて、市町村や医療機関に加え、生命保険会社や損害保険会社に働きかけを行っております。現在利用できるサービスとしましては、県立中央病院など22の医療機関で患者本人の意思が確認できない場合の治療や検査の同意、患者の診療情報の提供、県営住宅や8 市町村の公営住宅への入居、一部の市町での税証明の交付や犯罪被害者等への支援などとなっております。 

【質問②】性の多様なあり方に関する理解の促進に向けた県の取組について伺いたい。    

回答:こども家庭部長(若松伸一)
  • 第5次あおもり男女共同参画プランでは、重点目標の1つに、男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備を掲げており、これを達成するため、性の多様な在り方に対する理解の促進に取り組んでいます。 
    • 具体的には、県の広報誌やラジオ広報番組などによる普及啓発や、多様性を尊重した職場環境づくりをテーマとした企業向けパンフレットの配布、県や市町村の職員を対象とした理解促進のための研修会の開催などに取り組んできました。 
    • 今年度は、企業等を対象とした研修会を新たに開催することや、若者 向けのパンフレットの作成などに取り組むことで、引き続き、性の多様な在り方に対する理解促進を図っていきます。

【再質問】
ファミリーシップ制度の導入について検討しているのか伺いたい。  

 現在、本県で定められたパートナーシップ制度というのは、基本的には二人の関係なんです。
 このパートナーシップ制度をより発展させたものとして、ファミリーシップ制度があります。

 今年度から、都道府県としては愛知県が初めて導入しました。
 同性、性的マイノリティーカップルに限らず、そして異性の事実婚のカップルであったり、また、同性、 性的マイノリティーの子供なども家族とみなす制度です。

 より包括的に多様な性の在り方、また、家族の在り方を尊重する社会を目指していくために、青森県においてもファミリーシップ制度の導入について検討すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

回答:こども家庭部長(若松伸一)
  • パートナーシップの関係にあるお二人と、その一方または双方の子などが同一の生計により協力し合うことを宣誓した場合に家族として認めるといったファミリーシップ制度の導入につきましては、当事者団体等の声やニーズを参考にしつつ、他の自治体の実施状況なども参考に検討していきたいと考えております。


ぜひたくさんの方々の声を聞いて検討していた だければと思います。 

動物の愛護思想の普及啓発について

 さて、本日は6月21日、夏至です。
 北半球では1年で最も昼が長い日。南半球では夜が最も長い日です。
 この最も長いにかけて、6月21日は世界キリンの日なんだそうです。
 絶滅の危機にあるキリンの現状を世界の人に知ってもらいたいと、キリン保全財団が定めたそうです。 

 さて、動物の話をしました。次は、動物の愛護思想の普及啓発についての質問です。 

 青森県動物愛護センターの昨年度の実績がホームページで公表されていました。
 犬、猫の譲渡前講習会の開催回数、参加者、譲渡数であったり、子猫の育成ボランティアの育成頭数などが着実に増えていて、率直に喜ばしい限りです。
 犬、猫の殺処分の数も、令和4年度の338件から239件に減っており、殺処分ゼロに向けて今後も粘り強く取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、気になった数字は、多頭飼育問題に関する相談件数です。
 こちらは、令和4年度78件から97件へと増えていました。
 適正な飼育に関する理解を広めていき、多頭飼育崩壊を少しでも防いでいかないといけません。

 そして、動物愛護センターのユーチューブチャンネルがあります。
 動物に関する丁寧な解説動画が様々上げられているので、ぜひ皆さんにも 見てほしいんですが、その中で一つ、保護した猫を人慣れさせるまでの動画があります。
 人を恐れる、威嚇する、暴れん坊の一匹の猫ちゃんを職員の方々が一生懸命お世話します。
 落ち着かせるために猫ちゃんに古文を聞かせたりするんです。
 「平家の公達、助け舟に乗らんと、みぎわの方へぞ落ちたまふらん」。これを猫ちゃんに聞かせるんです。
 「平家物語」の「敦盛の最期」の一節なんですけれども、聞いていて、さすがにびっくりしたんですけれども、この古文のリズムがきっと心地よさがあるというか、猫たちの気持ちを落ち着かせるのかなと思います。
 そうしたいろいろなことをやって、33日たってようやくその猫ちゃんが自分から人に抱っこされるようになるわけです。
 ここまで来てようやく暴れん坊だった猫ちゃんが譲渡の対象の猫になるんです。
 33日、すごい時間がかかっているわけです。
 みんながみんな最初から人懐っこい わけではないんですね。
 保護された犬や猫たちの譲渡率を高めていく、 動物たちを守っていく、動物たちと共に生きていくには、職員の方々の力、マンパワーだけでは限界があります。 

 そこで、ボランティアの方、動物愛護団体の方々や動物愛護推進員、 これは、動物への理解と知識の普及のために、地域の身近な相談員とし て住民の相談に応じたり、求めに応じて飼い方の助言をするなど、動物 の愛護と適正飼養の普及啓発などの活動を行う方が動物愛護推進員と いう方なんですけれども、そういった方々の協力が必要になってくると 思います。

【質問①】本県における動物愛護推進員の委嘱の状況と活動内容について伺いたい。   

回答:健康医療福祉部長(守川義信)
  • 県では、学識経験者及び動物愛護団体で活動している方など18人に動物愛護推進員を委嘱し、県が行う動物の愛護及び適正飼養の推進に係る施策へ御協力いただくとともに、動物の適正な取扱い及び飼育方法の 相談、助言や、動物の所有者の求めに応じた譲渡のあっせん、災害時における動物の保護に関する活動など、地域に密着した活動の中心的役割 を担っていただいております。

【質問②】県民に動物愛護思想を更に普及していくための、県における動物愛護団体をはじめとする関係者との連携の状況と今後の取組について伺いたい。     

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 県では、広く県民の皆様に動物愛護思想を普及するため、青森県獣医師会等の有識者や動物関係事業者等を構成員とする青森県動物愛護推進協議会において、県の施策について議論いただくとともに、動物愛護団体とも意見を交換し、その結果を動物愛護センターを中核とする取組に反映させてまいりました。 
  • また、動物愛護に関心のある県民の皆様には、動物愛護フェスティバルの開催や生後間もない子猫の育成などにボランティアとして御協力いただいているところであります。 
    • 今年度は、新たに先進的な取組をしている地域から講師を招いてフォーラムを開催することで動物愛護団体等との連携を推進し、動物の飼養に不安や問題を抱えた飼い主を見守るための環境整備に取り組みます。
  • さらに、ボランティアと連携して、動物愛護センターが引き取った問題行動のある犬や猫に時間をかけたしつけを行うことで、譲渡のさらなる推進と致死処分の減少に取り組んでまいります。

多様な学びへの対応について 

 公立の小学校、中学校の設置主体は市町村で、これは公立の夜間中学校も基本的には同じです。
 ただ、今、全国では県で設置する夜間中学が多いわけです。
 今年の4月開校のものだけで群馬、鳥取、佐賀、熊本などが県立です。
 もちろん、それ以前に既に県での設置をしている自治体もあります。

 どうして市町村ではなくて、県立としての設置をしたか。
 これは、おのおのの事情や理由があるんでしょうけれども、理由の一つに、夜間中学の対象者は県全域にもいる、市町村教育委員会同士でお見合いっこしていてもなかなか決まらない、だから県教育委員会がえいやっと思い切って進めることにした、こういったこともあるんじゃないでしょうか。
  昨年行われた本県の夜間中学のニーズ調査でも、青森、弘前、八戸の3市はもちろん、深浦町、中泊町、むつ市、田子町などでも夜間中学が 必要な人のニーズがありました。
 県立であれば、例えば県内都市部に拠 点校として設置した上で、併せて県内の各地の学校、社会教育施設などをサテライト校として結んでいく、そんなことも可能だと思うのです。
 これは市町村立だと難しいわけです。 

【質問①】公立夜間中学の設置主体は基本的には市町村であるが、国では夜間中学の設置を促進していることから、市町村立に限らず、県立での設置も視野に検討を進めていくべきと考えるが、県教育委員会の考えを伺いたい。  

回答:教育長(風張知子)
  • 夜間中学については、文部科学省が夜間中学の設置・充実に向けた手引を示しており、地域や生徒の状況に応じて、設置者、設置場所、教職員の配置、研修、教育課程、市町村間の経費負担などについて検討する 必要があるとされています。 
  • また、入学対象者としては、義務教育未修了者、一度中学校を卒業した者、不登校となっている学齢生徒、外国籍の者などが考えられることから、これらの多様な教育ニーズへの対応について検討する必要があります。 県教育委員会では、昨年度実施したアンケート調査の結果を踏まえ、 昨年12月に市町村教育委員会に対し説明会を行い、ニーズや学びたい 理由などについて共通理解を図っておりますが、今後は、さらに設置に関する意向や課題についての調査を行うなど、市町村教育委員会と引き続き連携しながら、本県における夜間中学の在り方について検討していきたいと考えております。 

【質問②】不登校児童生徒を支援するためには、関係機関との連携が必要と考えるが、県教育委員会の取組について伺いたい。    

 学びの場というのは、いわゆる公教育だけではないはずなんです。
 たまたま日中に行く学校のスタイルが合わなかった。
 でも、そうしたときに、ほかの学びの場や居場所がないと、そこで八方塞がりとなってしまう。
 少しでも子供たちの居場所をつくるために、フリースクールであったり、子ども食堂であったり、尽力している民間の方々がいます。
 しかし、残念ながら、人件費などのやりくりが大変になってしまって閉鎖せざるを得なくなってしまう。
 直近でも青森市のフリースクールが閉校になってしまいました。

 別に皆さんは利益のためにやっているわけではなくて、公教育以外の学びの場や居場所を支援できるような制度をきちんと整えていくべきだと思うんです。
 そして、公教育に携わる方々、民間の方々、県教育委員会と市町村教育委員会であったり、また、ほかの部署の方、いろんな方々が現場のことを情報共有などしていく、そして何ができるのか、子供たちをどう取りこぼさないようにするかを考えていくことが大切ではないでしょうか。 

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、不登校に関する理解を深め、より効果的な手だてや対処の仕方について学ぶことを目的に、県関係部局、市町村教育委員会、県社会福祉協議会、フリースクールなどの民間支援団体等の参加を得て、不登校児童生徒支援連絡協議会を開催しています。 
  • この協議会では、有識者による講義、それぞれの機関の取組紹介、テ ーマ別の研究協議会等を実施しており、児童生徒及び保護者等への支援の充実を図るとともに、関係機関相互の理解を深め、連携を図る機会となっています。

【質問③】学びの保障のためには、より多様な学びの場が必要と考えるが、県教育委員会の取組について伺いたい。   

回答:教育長(風張知子)
  • 子供の学びを保障するためには、学校、行政、民間支援団体等がそれぞれの役割に応じて子供たちが学ぶことのできる環境づくりを進めることが重要だと考えています。 
  • 県教育委員会では、学校内に教室以外の居場所である校内教育支援センターを設置し、支援に当たることが効果的であると考え、昨年度から研究指定校において、児童生徒1人1人に対する学習支援や相談活動な ど、多様な支援の在り方について調査研究を行っています。 また、その成果を研修会や協議会において周知し、各市町村教育委員会や小・中学校に対して、校内教育支援センターなど多様な学びの場の整備を働きかけています。 

【質問④】教職員が、特別な教育的支援を必要とする児童生徒に適切に対応するため、県教育委員会ではどのように取り組んでいるのか伺いたい。  


 先日の新聞報道において、教員の応募数や未配置の数の状況もさることながら、今年度の県内小学校の特別支援学級が57学級増えたといった記事がありました。
 特別支援学級が増加した分だけ教員も対応に迫られるわけですが、ふだんからいわゆる普通学級での指導を行ってきた方が、いきなり対応を迫られるわけです。
 大学の教職課程の中でもある程度触れるとはいえども、特別支援学校の教諭の免許を持っているわけではない教職員の方々が特別支援学級の対応をしなくてはならない。これは非常に大変なことです。
 こうした状況に対して教職員の方をバックアップする体制を整えるべきではないでしょうか。
 これは、特別支援学級の生徒と対応する先生の両者のためです。 

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、初任者研修において、児童生徒個々の個性等に応じた適切な指導と必要な支援に関する研修を取り入れているほか、新たに特別支援学級を担当する教員に対する研修や、県総合学校教育センターにおける研修講座を通じて、教職員の指導力向上に取り組んでいます。
  • また、今年度は、特別支援学校等の教員96名を特別支援教育巡回相談員として任命の上、学校に派遣し、支援を必要とする児童生徒の指導に関する助言を行っています。 
  • さらに、チームで支える特別支援教育校内支援体制充実事業を新たに実施し、実践強化校18校において、地域の専門家を活用した校内支援体制の強化に取り組むこととしています。 

教職員が働きやすい環境づくりについて 

 そもそも、教員の人数が足りていない、教職調整額を4%から10%以上にしようという話が進んでいますけれども、しかし、この定額の働かせ放題、本質的に業務が本当に大変な状態は変わらないわけです。
 国に引き続き求めていくことは求めて、そして自治体でもできることは積極的に進めていく必要があると思います。 

 学校の夏季、冬季などの長期休暇のときに教員の方たちもまとめて年休を取ったりするのでしょうけれども、例えばこういった年休をきちんと取れているのか。民間や行政職では有給休暇の取得の促進がここ数年 で進んできました。
 教職員も、その仕事を選んだのだから休みが取れないのは当たり前だよね、覚悟すべきだよねとか、そんな話があってはならないのです。 

【質問①】過去3年間における公立学校教職員の年次休暇の取得状況及び取得日数が5日未満の教職員の割合を伺いたい。  

回答:教育長(風張知子)
  • 過去3年間における公立学校教職員の年次休暇の取得日数は、正規職員の年間1人当たりの平均で、令和2年は11.4日、令和3年は12.2日、令和4年は12.7日となっており、増加傾向にあります。 
  • また、取得日数が5日未満の教職員の割合は、令和2年は11.9%、 令和3年は7.1%、令和4年は5.8%となっており、減少傾向にあります。 

【質問②】年次休暇の取得促進に向けて、どのような取組を行っているのか伺いたい。    

回答:教育長(風張知子)
  • 年次休暇の取得を促進するためには、各学校において職員が年次休暇 を計画的に利用することができる環境整備を進めることが効果的であると考えています。 
  • このため、各県立学校及び市町村教育委員会に対し、
    • 校長が自ら率先して年次休暇を利用し、職員が年次休暇を取得しやすい環境を整えること
    • 年次休暇利用計画表を作成して、年次休暇利用計画の見える化を図り、職員がお互いの年次休暇の利用に配慮すること
    • 年間16日程度は計画的に年次休暇を取得させるよう努めることなどの取組、を促しているところです。 
  • また、年次休暇のより一層の取得促進を図り、働きやすい環境を構築するため、長期休業期間に学校が業務を行わない日として学校閉庁日を設定できる旨、各県立学校に通知するとともに、市町村教育委員会にもお知らせしているところです。

教職員のメンタルヘルス対策について

 精神性疾患で休職をされる方は、官民問わず、全国で増えています。
 これは教職員も例外ではありません。
 むしろ、ずっとストレスがのしかかっているのではないかと思います。
 その証拠に、昨年末の文科省の発表で、令和4年度に全国で精神疾患を理由に病気休職した教職員の数は6539人で、過去最多でありました。

 青森県ではどうなのか。私のほうでも文科省の統計で確認してみました。
 すると、令和2年、3年、4年にかけて、精神性の疾患で休職された教職員の方は、45人、45人、45人と同じ数字で横ばいだったんですね。
 横ばいであるという意味では増えてはいないんですけれども、これは決して喜ばしいことではないんです。

 そもそも、教職員の方々が病院にかかる時間があるのか、また、精神疾患となると、受診を決意して実際に病院へ行く、診断してもらうというのも心理的なハードルが高いわけです。
 もちろん、メンタルの不調は学校での仕事だけが原因ではなく、家庭問題であったり、人間関係であったり、いろんな要因が絡んで一概に仕事だけのせいとは言えませんが、しかし、教育委員会としても教職員の方々をできる限り支えてあげなければならないと思います。 

【質問】教職員のメンタルヘルスのために、どのような取組を行っているのか伺いたい。   

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、教職員が心身ともに健康を維持して、教育に携わることができるよう、公立学校共済組合と連携しながら、教職員のメンタルヘルス対策に取り組んでおります。 県教育委員会の取組としては、県総合学校教育センターにおいて、初任者や中堅教諭等を対象に、メンタル面の自己管理や組織的なメンタルヘルスケア等に関する研修を行っております。
  • また、県立学校教職員ストレスチェック制度により、自身のストレス状況の把握や高ストレス者への医師の面接指導等を通じて、メンタルヘルス不調の未然防止に努めております。
  • さらに、労働安全衛生管理体制の充実を図るため、今年度から全ての県立学校に産業医の配置を進めており、教職員の健康相談等を実施しております。 
  • このほか、公立学校共済組合の取組としては、管理監督者向けのメンタルヘルス研修会のほか、教職員を対象に、精神科医や公認心理師等による相談・カウンセリング事業を実施しております。 

公益財団法人青森県育英奨学会が運営する青森県学生寮について

 地方の学生が、大学、短大、また、専門学校などへ進学で上京する、そして、上京するのに手間もお金もかかるわけです。
 こうした学生、保護者のために県人寮というものがあって、いろんな県で学生のための寮が用意されている。

 本県でも青森県学生寮が東京の小平市にあります。
 入寮費が年額3万円、月の寮費も3万円で、年間39万円です。
 食費は年間に10万円ほど、ほかにネットの回線や光熱費、雑費などがかかりますが、せいぜい多く見積もっても年間60万円弱、これは非常に安いと思います。
 昨年、私が所属していた文教公安委員会で、この青森県学生寮の入寮の状況を聞きました。
 そうしたら、この県の学生寮は定員が100名なんですけれども、ここ最近は半分の50名どころか、30名ちょっとであると。
 昨年度は33名ということでした。

 確かに、コロナの影響であったりとか、寮の文化は今の時代は敬遠されがちだとか、ちょっと場所が不便だとか、いろいろあるとは思いますが、しかし、まるで生活費が違うわけです。
 当たり前に東京などの1都3県で家を借りて生活すると、大学の生協の調査だと、家賃と食費だけで9万円かかる、年間で110万円かかります。
 これが県の学生寮だと年間60万円で2倍近く違うんです。
 この事実だけでも本来もっと入寮者がいてもおかしくないと思っています。 

【質問①】直近3年間の入寮者の推移について伺いたい。    

回答:教育長(風張知子)
  • 学生寮の定員は男子100名となっており、直近3年間の入寮者数については、令和4年度は36名、令和5年度は33名、令和6年度は31名となっております。

【質問②】入寮者が減少している状況の中、どのように運営しているのか伺いたい。  

回答:教育長(風張知子)
  • 学生寮の運営は青森県育英奨学会の自主事業であり、基本的には一定の入寮者数を確保し、寮費など入寮生からの収入により安定的に運営されるものですが、近年は入寮者数が減少しているため、学生寮事業に使用する基金を取り崩しながら運営しているところです。

【再質問】青森県学生寮への女子学生受入れについて、どのように考えるか伺いたい。 

 先ほど答弁がありましたが、今年度は31人ということでやっぱり少ないなと思うんです。
 もっと周知を頑張ってほしいと思うんですが、生活費用がやっぱりこれだけ違うのだということが分かるだけでも、保護者であったり、学生にもっと刺さるはずなんです。
 大学生に限らず、専門学生でも入寮ができたり、また、4年間とか、6年間とかずっといなくても、一時的でも入寮することも可能であるといった事実も知らない学生の方々も結構いらっしゃるんじゃないかと思うんですね。 

 また、青森県の学生寮は男子寮なんです。
 全国の県人寮でも男性寮が多いんですけれども、女子寮がない不公平性の解消であったり、入寮者を確保していくために、例えば山形県や佐賀県の県人寮などは男女共同の寮にした例というのもあるんです。

 男女の不公平性の解消であったり、入寮者の確保の2つの観点から、女子学生なども学生寮に入寮できるように整える価値というのは十分にあると思うんです。
 100人の定員のところで30人しかいない、もっと入ってもらう、そして女子学生も、男子だけの恩恵になっていますから、そういったのを整えていく価値というのはあると思うんですけれども、青森県学生寮への女子学生の受入れについて、どのように考えているのか見解を伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 青森県学生寮は、昭和56年の建設以来、43年が経過し、老朽化に伴う大規模な改修が課題となっているところです。また、現在は、男子寮として部屋は個室ですが、浴室、トイレ及び洗面所は共同となっており、学生のライフスタイルの変化等により、各個室に浴室等の設置を望む声が出ているところです。
  • このような中、女子の入寮を可能とするためには、まず男女を別棟にし、女子専用の浴室、トイレ、洗面所などを整備するとともに、各個室への浴室等の設置を検討する必要があります。学生寮の運営については、公益財団法人青森県育英奨学会が決定するものですが、青森県育英奨学会を所管する県教育委員会といたしましては、立地、学生のライフスタイルの変化及び改修費用等を総合的に考慮し、検討する必要があると考えております。

 少なくとも男子だけが恩恵を受けられる状況というのはやっぱり不公平だと思うんですよ。

 また、運営の状況に関する資料を何年分か私のほうでも確認しました。
 年によって数百万円とばらつきがあったりするんですけれども、減価償却も含めてという形ではありますが、毎年大体2400万円ほど経費がかかっていました。
 入寮者が30人ちょっとの状況が続くと、月額の寮費と入寮費を合わせて年間39万円で、これを単純に掛け算すると、1300万円とか、1400万円とかの収益にしかならないんですね。
 赤字分を寄附金から補塡で、昨年は700万円ほど補塡されています。
 寄附金の残高は3700万円でした。

 まだもう少しもちますけれども、この状況が続くと、5、6年で寄附金の残高は尽きてしまうと思うんです。
 現状では、この赤字分を寄附金から補塡していて、現在の入寮者は、100名定員のところが30ちょっとであるとか、この入寮者の数では収益が少なくて、寄附金から補塡していってもどんどんなくなってしまう。
 困難になると思うんです。

 運営の継続に支障が生じるのではないかと思うんですが、県教育委員会としてはどのように考えているのか伺いたいと思います。 

回答:教育長(風張知子)
  • 先ほども申し上げましたが、学生寮の運営については公益財団法人青森県育英奨学会が決定するものですが、青森県育英奨学会を所管する県教育委員会といたしましては、様々なこと、立地、 学生のライフスタイルの変化、改修費用等を総合的に考慮し、検討していかなければならないと思っております。

 昭和56年に建て替えられて43年くらいたつといっても、まだ現役で使えるのではないかと個人的には思うんです。
 これが運営困難になって閉寮になってしまうのはちょっと悲しいし、もったいないなと思います。
 女性も共同となると、浴室であったり、トイレの改修、増築などの設備投資、費用はたくさんかかると思います。
 それでも入寮者が増えれば、 長い目で見ればきちんとペイできるはずなんです。
 定員が100人なので、これが100名きちんと入れば、例えば男女合わせてとかですけれども、3900万円の収益になるわけです。 

 この学生寮の入寮者の話というのは、単純に生活費だけの話ではないと思うんです。
 そこに集まってくる学生は全て青森県ゆかりの学生です。青森への思いがあるわけです。
 例えば関係人口としてもずっと関わってくるかもしれない。
 コミュニティーの機能としても学生寮というのは重要だと思うんです。
 ほかの県人寮の事例なども踏まえたりしながら、青森県の学生寮の運営を何とか頑張ってもらいたいと思うんです。

 そして、繰り返しになりますけれども、男子寮しかない。女性寮がないんです。男子は格安で入れる。
 年間5、60万円しかかからない。
 でも、女性が入りたいと言っても入れないんです。
 私の元にも、例えばSNSみたいなので発信したときに、これは女子も入れたらな、私も入りたかったなといった意見があるんですよ。
 でも、そういった状況ではな いんですね。
 この不公平な状況というのを早急に解消していただきたいと思います。 

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