県産堆肥の活用と陸奥湾のナマコ資源管理についての質問

 肥料費の上昇が農業経営を圧迫する中、県内で生産される堆肥を、土づくりや化学肥料の使用削減にどう生かしていくのかを質問しました。

 また、ホタテガイ養殖が厳しい陸奥湾で重要性を増すナマコについて、漁獲量と価格の動向、資源増大の取組、科学的な調査に基づく資源管理を確認しました。

今回のポイント

  • 本県の米生産費のうち、肥料費は5年間で約47%上昇
  • 令和7年度の県内の堆肥製造施設は68か所、年間生産量は約14万トン
  • 令和6年度の家畜ふん排出量は約170万8,000トンで、74%が堆肥として利用
  • 令和7年の陸奥湾のナマコ漁獲量は1,008トン、平均価格は1キログラム当たり約1,600円
  • ナマコの資源把握に向け、湾内5漁協で漁獲物調査、2漁協で漁期前の操業実態調査を実施
目次

県産堆肥の活用について

 小笠原です。
 私はまず一つ目、県産堆肥の活用について質問したいと思います。
 今、肥料の価格が高騰していると。特に化学肥料ですね。
 円安であったり、中東、社会情勢とか、色々な影響があるんですけれども、そうした肥料価格の高騰が農業の経営を圧迫している。
 先の委員会では、本県の米生産費のうち肥料費が、令和元年産から令和6年産までの5年間で約47%上昇しているとの答弁がありました。

 そうした中で、地域で生産される堆肥を適切に活用することは、土壌の物理性・生物性の改善だけでなく、化学肥料の使用量を抑え、地域内で資源を循環させる観点からも重要だと思っています。

 一口に堆肥といっても、原料によって成分や利用目的が異なり、化学肥料を単純に置き換えるということは難しいかもしれない。
 運搬や散布の労力などの課題もありますが、ただ、それでも利用拡大に向けて解決すべき課題を認識しながら、拡大していくということは、私は今の状況だからこそ重要なことではないかなと思います。

【質問①】県内における堆肥の生産状況について伺いたい。

 まず、県内における堆肥の生産状況について伺いたいと思います。

回答:福士農産園芸課長
  • 県が市町村を通じて行った調査では、令和7年度の堆肥製造施設は68か所、年間生産量は約14万トンで、施設数、生産量とも令和3年度をピークに減少傾向にあります。
  • 地域別では、上北地域が約10万6,000トンと最も多く、次いで三八地域が約1万5,000トン、西北地域が約1万トンとなっています。
  • 原料別では、鶏ふん堆肥が51%の約7万3,000トン、豚ぷん堆肥が26%の約3万7,000トン、牛ふん堆肥が22%の約3万1,000トンで、家畜ふん堆肥が多くを占めています。

【質問②】県内で生産される家畜ふん堆肥には、どのような特徴があるのか伺いたい。

 令和7年度、68施設、年間約14万トンの堆肥だと。
 ただ、令和3年度をピークに減少傾向だということですけれども、青森県、畜産も豊かなので、堆肥でほぼ占めているのが家畜のふんの堆肥だということでした。
 鶏ふん、豚ぷん、牛ふんを原料とする家畜のふんの堆肥がそのほとんどを占めているということですが、県産堆肥の利用を進めるに当たって、おのおのの堆肥がどのような特徴を持って、どのような用途に適しているのかというのも改めて確認したいと思います。

回答:福士農産園芸課長
  • 青森県産業技術センターが県内の畜産農家等の家畜ふん堆肥を調査したところ、牛ふん堆肥は水分が多く、速効性の肥料成分は少ないものの、分解しにくい有機物を多く含むため、土づくりに向いています。
  • 豚ぷん・鶏ふん堆肥は、水分と分解しにくい有機物が少ない一方、速効性の肥料成分を多く含むため、化学肥料の一部を置き換えることが可能です。
  • 家畜ふん堆肥は、畜種や成分の種類によってばらつきが大きく、同じ畜種でも肥料成分に2倍から6倍の違いがあります。

 同じ畜種の堆肥でも、肥料成分に2倍から6倍の違いがあるとのことです。
 自然のものであるので、そうした違いというのはどうしても出てきてしまうし、そうした中で、堆肥を活用したいけれど、それを単純に化学肥料から堆肥に切り替えるのも難しいとは思います。
 農家の方々はそれを十分に分かっている。
 単に「堆肥を使いましょう」と呼びかけるだけでは不十分であり、農地の土壌、作物の種類、堆肥の成分に応じて、適切なものを適量使えるようにすることが必要です。

【質問③】土づくりにおける堆肥の活用に向けた県の取組状況と課題について伺いたい。

 今度は、肥料としてのこともそうなんですけれども、土づくりにおける堆肥の活用に向けた県の取組状況と、また、その課題の部分も伺いたいと思います。

回答:福士農産園芸課長
  • 県では、「日本一健康な土づくり運動」の一環として、堆肥の品質確保に向けた肥料成分の分析や巡回指導を行っています。
  • 堆肥生産者が販売する堆肥の価格や肥料成分、配達・散布作業の請負の有無などをホームページに掲載し、利用者とのマッチングに取り組んでいます。
  • 県や農協の指導力を強化するため、土壌分析結果に基づく指導方法や、青森県産業技術センターが開発した施肥設計支援システム「施肥なび」の活用方法などの研修を行っています。
  • 課題として、化学肥料を堆肥に置き換えた場合に農作物が減収することがあるほか、散布時間が増えてコスト低減につながらない場合があります。
  • 散布しやすいペレット堆肥は、通常の堆肥より価格が高く需要が少ないため、堆肥生産者が製造に必要な機械を導入できない状況にあります。

 コストや労力の課題はありますが、化学肥料と組み合わせて使うこともできます。
 堆肥の特徴やメリットが生産者に十分伝われば、使ってみたいという人も増えるはずです。
 ペレット化は散布作業の省力化につながる一方、製造コストが課題となります。

【質問④】家畜ふん堆肥の利用状況について、県はどのように把握しているのか伺いたい。

 生産量だけでなく、実際にどの程度流通し、農業者がどの程度利用しているのか、地域ごとの需要と供給を把握することも必要です。
 県としては、こうした部分というのは、現時点ではどう把握しているのでしょうか。

回答:福士農産園芸課長
  • 令和6年度の家畜ふんの年間排出量は約170万8,000トンです。
  • このうち、堆肥としての利用が74%、液肥としての利用が5%、浄化・放流が9%、焼却が6%などとなっています。

 今後は、家畜ふんの処理・利用割合だけでなく、実際の流通量や地域ごとの需要と供給も把握し、利用者とのマッチングにつなげていくことが重要です。
 化学肥料のすべてを置き換えることは難しくても、土づくりと肥料成分の補給というそれぞれの特性を踏まえ、県産堆肥の活用拡大を進めていただきたいと思います。

陸奥湾のナマコ資源の持続的利用について

 では、次の質問です。
 次は陸奥湾における水産資源の持続的利用に向けた取組について、ナマコのことを質問したいと思いますが、特に陸奥湾においてホタテが本当に厳しいという中で、ほかの水産資源にも目を向ける必要があり、ナマコというのは、漁業者の所得を支える重要な水産資源の一つだと思っています。

 特に東青管内だと、さすがにホタテほどではないんですけれど、ナマコは漁獲金額がホタテガイに次いで大きい重要な水産資源の一つですが、取引価格は下落しています。

 ホタテガイの不振を背景にナマコへの期待が高まる一方、漁獲量の増加によって将来の資源を損なうことがないよう、資源状況の把握、種苗生産・放流、資源管理を一体的に進める必要があります。

【質問①】陸奥湾におけるナマコの漁獲量と価格の動向について伺いたい。

まず最初に、陸奥湾におけるナマコの漁獲量と価格の動向について質問したいと思います。

回答:山本水産振興課長
  • 陸奥湾における直近10年間のナマコ漁獲量は、平成28年の864トンから年々減少し、令和3年には585トンとなりましたが、その後は増加傾向となり、令和7年は1,008トンとなりました。
  • 1キログラム当たりの平均価格は、平成28年から令和6年までは約2,500円から3,900円で推移していましたが、令和7年は約1,600円に下落しました。

【質問②】県は、陸奥湾のナマコ漁業と資源の現状をどのように認識しているのか伺いたい。

 高かった時期というのは、中国への輸出、需要があったので、より高くなっていたのかなと思います。
 高いときは4,000円くらいあったのが今、約1,600円ということで、半分以下になってしまっている状況ですけれど、県としては、ナマコ漁業の現状であったり、状況というのはどう把握されているのかなと思うんです。

 このナマコ資源というのが回復しているのかどうかというところ、そこの部分に関して、県の認識を改めてお聞きしたいと思います。

回答:山本水産振興課長
  • ナマコは陸奥湾においてホタテガイに次いで重要な魚種であり、ホタテガイ養殖が不振となっている陸奥湾の漁業者にとって、重要性が増していると認識しています。
  • 一方、近年増加している漁獲量が資源面で持続可能なものかどうか、資源調査を行うとともに、資源管理も併せて検討する必要があると考えています。

 ホタテに限らず、ナマコに限らず、資源管理は引き続きやっていく必要があると思っています。
 ナマコというのは価格が高い時期というのは漁獲量も高まりやすいと思いますが、ホタテに比べても、一度、資源が減少すると、回復まで長い年月を要するものなのかなと思います。

【質問③】ナマコ資源の増大に向け、県はどのように取り組んでいるのか伺いたい。

 短期的な漁獲量だけではなくて、将来にわたって漁獲を継続できるような資源を維持するための取組が必要だと思います。
 ナマコ資源の増大に向けて、県はどのように取り組んでいるのか伺います。

回答:山本水産振興課長
  • 県は令和6年度から関係者と連携し、適切な資源管理と、効率的な種苗生産・放流に向けた取組を進めています。
  • 青森県産業技術センター水産総合研究所の調査で把握した資源状況を基に、今年度、漁業者間の資源管理ルールの合意に向けた勉強会を開催することとしています。
  • 公益社団法人青森県栽培漁業振興協会が行う、生残率の高い大型人工種苗の生産技術の実証試験を支援しています。
  • 漁業者が自ら稚ナマコを生産する実践的な技術研修を開催するとともに、漁港内でより大型に育成する試験などを行っています。

【質問④】ナマコの資源状況を把握するため、どのような調査を行っているのか伺いたい。

 漁業者の間で資源管理ルールを合意し、実効性のあるものにするためには、その前提となる科学的なデータが必要です。
 ナマコ資源を把握するため、ナマコ資源をきちんと把握していくために、そういったデータを集めるためにどのような調査を行っているのか、こちらも確認したいと思います。

※ナマコの種苗生産や放流については、青森県産業技術センターが「ナマコ生産マニュアル」「ナマコ放流マニュアル」を公開しています。

回答:山本水産振興課長
  • 県は青森県産業技術センター水産総合研究所と連携し、令和6年度から、湾内5漁協に水揚げされたナマコについて、漁法別のサイズ組成を把握する漁獲物調査を実施しています。
  • 今年度からは、湾内2漁協において、漁期前の試験操業によりサイズ組成や資源量を把握する操業実態調査を実施する予定です。

※調査結果の概要は、青森県産業技術センターの「陸奥湾のマナマコ資源動向について」(『水と漁』第52号)でも紹介されています。

 ホタテガイ養殖が厳しい中、ナマコをはじめとするほかの水産資源への期待は高まります。
 しかし、当面の所得確保を優先して獲った結果、将来の資源が損なわれることがあってはなりません。

 漁獲量だけでなく、漁獲物のサイズや現在の資源量を継続的に把握し、その結果に基づいて、漁業者が納得し、実際に守ることができる資源管理ルールを構築する必要があります。
 県も関係者と連携し、陸奥湾の水産資源を守る取組を一体的に進めていただきたいと思います。

質問を終えて

 県産堆肥の活用は、肥料費の高騰への対応だけでなく、土づくりと地域資源の循環という面でも重要です。
 ただし、同じ畜種の堆肥でも成分差が大きく、運搬・散布の負担や価格の課題もあります。
 単に利用を呼びかけるのではなく、土壌や作物に応じた施肥設計、成分情報の提供、散布の省力化、地域ごとの需給の把握とマッチングまでを進める必要があります。
 今回の答弁では、家畜ふんの処理・利用割合は示されましたが、実際の流通量や農業者の利用量、地域別の需給は明確になりませんでした。
 今後、さらに確認していきます。

 陸奥湾のナマコは、漁獲量が増加する一方、平均価格が大きく下落しています。
 漁獲量の増加だけで資源が回復したとは判断できません。
 ホタテガイ養殖の不振によって期待が高まるときこそ、現在の所得確保と将来の資源維持を両立させる視点が必要です。
 科学的な調査を続け、その結果を漁業者と共有し、納得して守ることのできる資源管理ルールにつなげることが重要だと考えます。

よかったらシェアしてください
目次