
施設野菜の安定生産と陸奥湾ホタテガイ養殖の振興についての質問
農林水産委員会で、先日の深浦町トマト団地の視察を踏まえ、施設野菜の作付面積の減少、高温・省力化・雪害対策、支援制度の要件について質問しました。
また、陸奥湾ホタテガイ養殖が極めて厳しい状況にある中、経営リスクを分散する副業魚種の考え方、陸奥湾産イタヤガイの養殖研究、外国産種苗を持ち込むリスクと周知について県の考えを確認しました。
今回のポイント
- 本県の施設野菜の作付面積は241ヘクタールで、10年前の370ヘクタールから約4割減少。
- トマト・ミニトマトが169ヘクタールで、施設野菜全体の約7割を占める。
- 県は、自動かん水施肥システム、高温に強い品種、遮光資材、循環扇、耐雪型ハウスなどの導入・普及を進めている。
- 一方、省力化に関する補助メニューには、労働時間の削減や規模拡大などの要件がある。
- ホタテガイの副業魚種として、マガキ、ムラサキイガイ、イタヤガイなどが候補。
- 陸奥湾産イタヤガイは試験養殖中だが、産卵期の低水温に弱い傾向が確認されている。
- 県は、病気や貝毒などを持ち込むリスクから、外国産種苗を用いた養殖は実施すべきではないとの考え。
目次
施設野菜の生産対策について

私はまず、施設野菜の生産対策について質問したいと思います。
先日、農林水産委員会で深浦町のトマト団地を視察しました。
生産者の方は、もともと愛知県出身ですが、お父さんが深浦町出身で、そうした縁もあって深浦町に移り、就農して17年目になります。
もともと農家ではなく、トマト栽培も初めてだったけれども、いろいろな方に協力してもらい、すごく助かったから今も続けられている、というお話をされていました。
ビニールハウスやガラス温室で栽培する施設野菜は、本来であれば、天候の影響を一定程度抑えながら安定的に生産できるものだと思います。
しかし、近年の高温、労働力不足、高齢化、資材価格の上昇、冬場の雪害、特に近年の豪雪など、様々な課題に直面しています。
どう高温対策をしていくのか、どう省力化していくのか。
新たな技術の導入が、今後ますます重要になると思います。
【質問①】本県における施設野菜の作付状況について伺いたい。
そうした中で、まず、本県における施設野菜の作付状況を確認したいと思います。
回答:福士農産園芸課長
- 本県において、ビニールハウスやガラス室で生産される施設野菜の作付面積は、生産者の高齢化や労働力不足に伴い減少傾向となっています。県の調査では、直近のデータがある令和6年が241ヘクタールで、10年前の平成26年の370ヘクタールから約4割減少しています。
- 地域別では、中南地域が64ヘクタール、次いで西北地域が59ヘクタール、三八地域が55ヘクタールとなっており、この3地域で県全体の約7割を占めています。
- 品目別では、トマト・ミニトマトが169ヘクタールで全体の7割を占めており、次いでイチゴが18ヘクタール、ホウレンソウが15ヘクタールとなっています。
10年前と比べて約4割の減少ということです。先ほどの吉俣委員の質問とも関わると思いますが、今の答弁は施設野菜についての数字とはいえ、担い手も生産基盤も減っており、本当に厳しい状況にあると思います。
一気に増やすことは難しいとしても、その中で省力化をどう進めるのか、高温対策をどうするのかが非常に重要になってきます。
【質問②】施設野菜の安定生産に向けた県の取組について伺いたい。
視察先の生産者の方は、就農した17年前は、青森県は今ほど暑くなく、トマト栽培に適していたと話していました。
トマト栽培に適しているのは20度台半ばくらいだそうですが、最近は30度、35度となり、着果不良や収量の低下が起きています。
資材も高い中、生産者の方は、日々いろいろな話を聞き、研究しながら試行錯誤しています。
慣れてくれば少しは手がかからなくなるのかと思いきや、そうではなく、どんどん手をかけている。
深浦地区の平均の2倍近い収量を上げているにもかかわらず、収入としてはぎりぎりだというお話でした。
これだけ頑張っている方でもぎりぎりだというのは、本当に厳しい状況です。
そうした農家の方々をどう支えていくのか、本県の施設野菜をどう支えていくのかが重要だと思います。
そこで、施設野菜の安定生産に向けた県の取組について、改めて伺います。
回答:福士農産園芸課長
- 本県の施設野菜は、労働力不足等による作付面積の減少のほか、夏場の高温により収量や品質の低下が見られることから、県では安定生産に向けて、省力化や高温対策に取り組んでいます。
- 省力化の取組として、東青地域において、自動かん水施肥システムを活用したトマトの現地実証を実施しているほか、県産業技術センターが開発したイチゴの自作型高設栽培装置の普及を図っています。
- 高温対策として、トマトの割れなどの抑制に向け、高温に強い品種の比較試験や遮光資材の活用等を指導しているほか、イチゴの果実の発育不良を防ぐため、循環扇を活用した換気方法などを指導しています。
- さらに、県単独の「野菜等産地力強化支援事業」で、これらの省力化や高温対策に有効な資機材のほか、雪害防止に向け、耐雪型ハウスの導入を支援しています。
【質問③】省力化・高温対策や耐雪型ハウスの導入支援は、どのような生産者が対象となるのか伺いたい。
新たな技術が日々研究されている中で、今、施設で野菜を栽培している方々に、そうした技術をさらに普及していくことが重要です。
また、資材が高騰する中、県でも単独補助事業として支援しているということでした。
省力化や高温対策に有効な資機材、雪害防止に向けた耐雪型ハウスの導入について、申請すれば誰でも利用できるものなのか。
施設の規模などによって申請しづらいことがないのかが気になります。
費用負担などによって導入が難しい農家もいると思いますが、対象要件はどのようになっているのか伺います。
回答:福士農産園芸課長
- 本事業には、省力型や施設園芸型といった事業メニューがあります。省力型については、労働力の削減や規模の拡大といった要件を設けているため、その要件を満たす生産者が対象となります。
労働時間の削減や規模拡大などが要件になっているということでした。
確かに、規模を拡大していくことも重要ですが、規模拡大そのものが難しい生産者もいます。
ぎりぎりの中で、それぞれが様々な工夫をされています。
規模拡大が難しい生産者にも支援が届くよう、より利用しやすい運用を考えていただきたいと思います。
そして、青森の施設野菜を支えていただきたいと思います。
海洋環境の変動に対応した陸奥湾ホタテガイ養殖の振興について
次に、海洋環境の変動に対応した陸奥湾ホタテガイ養殖の振興について質問します。
おととい、県漁業協同組合連合会の通常総会がありました。
昨年は、高水温による大量へい死で大幅な減産となり、販売額は2年連続で100億円を下回りました。
水揚げ量も2万トンに届かず、1977年度以降で最も少ない水揚げとなりました。
今年度の見込みは1万トン、販売額の見込みは40億円ということで、本当に厳しい状況です。
近年の高水温や採苗不振などで厳しい状況が続いています。
それでも、ホタテガイ養殖をどう守り、どう再生していくのかを大前提に考えなければなりません。
その上で、漁業者の経営を将来にわたって支え、ホタテガイ養殖を持続していくためには、ホタテガイを中心としながらも、経営リスクを分散する副業魚種について、慎重に検討していく必要があると思います。
【質問①】ホタテガイ養殖に副業魚種を導入することについて、県の考え方を伺いたい。
そうした中で、ホタテガイの副業魚種を導入することについて、県としてどのように考えているのか伺います。
回答:山本水産振興課長
- 新たな副業魚種の導入については、麻痺性貝毒、これは実際に人の死亡例もあり、出荷規制などが行われるものですが、そうした貝毒の発生や遺伝的攪乱、細菌などによる病気の持込みを防ぐ観点から、陸奥湾に生息する水産動植物を基本として、慎重に検討していく必要があると考えています。
- 具体的な副業魚種として、2月26日に開催した陸奥湾ホタテガイ産業のあり方検討会では、マガキ、ムラサキイガイ、イタヤガイなどが候補として挙がりました。
【質問②】陸奥湾産イタヤガイの養殖の可能性について伺いたい。
カキについては、実際に養殖試験をしている漁協もあると聞いています。
ムラサキイガイ、いわゆるムール貝については、先日、平内町で「ふりふりムール」というガーリック味の商品があるという報道も見ました。
そして、イタヤガイです。そもそもホタテガイもイタヤガイ科です。
イタヤガイについては、私も漁業者の方からお話を聞くことがあります。
ホタテガイに比べれば身は小さいけれども、干し貝柱にすれば味が濃厚でおいしいということでした。
イタヤガイはもともと陸奥湾に生息しています。
陸奥湾の環境を守ること、ホタテガイ養殖に悪影響を与えないことが大前提ですが、陸奥湾産イタヤガイの養殖の可能性について伺います。
回答:山本水産振興課長
- 県産業技術センター水産総合研究所では、陸奥湾産イタヤガイの養殖の可能性を探るため、外ヶ浜漁協から成貝と稚貝を入手し、陸奥湾にある同研究所の実験漁場で試験養殖を行い、基礎的なデータを収集しています。
- これまでの試験では、陸奥湾産イタヤガイの成熟や産卵は、ホタテガイと同じ2月から3月頃ですが、その時期の低水温に弱い傾向が見られており、引き続き、その特性と養殖の可能性について研究することとしています。
簡単にはいかない部分がありますが、現在、研究中ということでした。
イタヤガイ以外についても、陸奥湾に生息する魚種や貝類の中から、可能性を探っていただきたいと思います。
【質問③】中国産アメリカイタヤガイの養殖の可能性について伺いたい。
一方で、漁業者の方から、中国産のアメリカイタヤガイを養殖したいという話も聞きます。
種苗が手に入りやすいこともあるのでしょうし、高水温に比較的強いという話も聞きます。
ただ、先ほどの答弁にもあったように、陸奥湾の外から種苗を入れることには大きなリスクが伴います。
そうした懸念もありますが、中国産アメリカイタヤガイの養殖の可能性について、改めて伺います。
回答:山本水産振興課長
- 陸奥湾の外から貝類を移入する場合、これまで発生していない寄生虫や未知の病気、毒を産出するプランクトン等が持ち込まれることによって、ホタテガイや他の魚介類にも、これまで前例のない影響を及ぼすリスクが懸念されます。例えば麻痺性貝毒の場合、貝を食べるトゲクリガニなどにも影響が及ぶ可能性があります。
特に国外からの移入については、容易に行うべきではない旨、農林水産省及び国立研究開発法人水産研究・教育機構から助言を受けています。 - また、中国では、夏場にイタヤガイ科の二枚貝がウイルス感染により大量へい死する事例も発生しており、陸奥湾への移入によってホタテガイなどに大きな被害が発生することも危惧されます。
- このため県としては、中国産アメリカイタヤガイを含む外国産種苗を用いた養殖は、実施すべきではないと考えています。
陸奥湾が壊滅的な状況になってしまえば、元も子もありません。
陸奥湾を守りながら、どうしていくのかを本当に考えなければならないと思います。
【質問④】外国産種苗の導入リスクを、漁業者や関係団体にどのように周知していくのか伺いたい。
外国産種苗を入れるリスクについて、漁業者の方々も分かってはいるのかもしれません。
しかし、改めて、その危険性を周知しなければならないと思います。
外国産種苗の導入リスクについて、漁業者や関係団体にどのように周知し、慎重な対応を促していくのか伺います。
回答:山本水産振興課長
- 県では、漁業者や加工業者から外国産の種苗を入れたいという話を直接伺った際には、そうしたリスクがあることを説明しています。
- また、陸奥湾の漁協でつくる「むつ湾漁業振興会」では、ホタテガイの稚貝を北海道から移入する際にも、リスクを考慮して一定のルールを決めています。そうした場を活用しながら、疾病などのリスクについて説明していきたいと考えています。
ホタテガイ養殖漁業者の方々も、ぎりぎりの状況だと思います。
その中で、何ができるのか、どういうことができるのか、様々なことを模索されています。
しかし、陸奥湾で新たな病気が蔓延すれば、再生していくことは本当に困難になります。
外から種苗を入れるリスク、特に外国産種苗のリスクについては、改めて周知していくべきだと思います。
引き続き、研究機関や漁業者と連携しながら、陸奥湾に生息する魚種や貝類の中で副業魚種を検討し、陸奥湾ホタテガイ養殖の振興に、より一層取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
質問を終えて
施設野菜は、10年間で作付面積が約4割減少しています。
高温、豪雪、資材価格の上昇、労働力不足が重なる中、生産者の努力だけに任せて維持できる状況ではありません。
県は、省力化や高温対策、耐雪型ハウスなどを支援していますが、補助制度に規模拡大などの要件があることで、支援が必要な小規模・家族経営の農家ほど使いにくくなることがないか、丁寧に見ていく必要があります。
規模を拡大する農家だけでなく、今の規模を守りながら質の高い農業を続けようとする農家にも、支援が届く仕組みが必要です。
陸奥湾ホタテガイ養殖については、今年度の水揚げ量、販売額とも、さらに厳しい見込みが示されています。
ホタテガイの再生を最優先にしながら、漁業者の経営を支える副業魚種の可能性も探らなければなりません。
ただし、外国産種苗の導入によって、一度、病気や有害なプランクトンを持ち込めば、陸奥湾全体に取り返しのつかない被害を与えるおそれがあります。
目先の収益だけで判断せず、陸奥湾に生息する魚種や貝類を基本に、研究と実証を積み重ねるべきです。
生産者、漁業者が続けていけること。そして、青森の農地と陸奥湾を次の世代に残すこと。その両方を見据え、今後も現場の声を聞きながら取り上げていきます。

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