水田農業の省力化·低コスト化と漁業就業者の確保·育成についての質問

 水田農業では、農業経営体の減少と生産コストの上昇が同時に進む中、省力化·低コスト化技術を現場にどう広げるのかを質問しました。
 また水産業では、漁業就業者の減少·高齢化、外国人材の受入れ、新規就業者の確保と定着について県の取組を確認しました。

今回のポイント

  • 水稲を作付けする農業経営体は、5年間で約27%減少
  • 米の生産費は5年間で約19%上昇し、肥料費は約47%上昇
  • 乾田直播栽培の面積は1,715ヘクタールで、5年間で約2倍
  • 漁業就業者は10年間で約3割減少し、65歳以上が44%
  • 令和6年度の新規漁業就業者は9名。漁業分野の外国人労働者は157名
目次

水田農業における省力化·低コスト化について

 私は、まず、お米のこと、水田農業における省力化、低コスト化について質問したいと思います。

 ここ一、二年「令和の米騒動」と言われる状況が続いています。
 現在、米の値段は若干安くなってきていますが、その原因についても、価格が高くて、消費者がお米を買えなくなったために下がってきているのではないかという話など、様々な見方があります。

 2026年の青森県全体の米の生産数量目標は過去最高となるという話もありますが、水田農業は本県農業の基盤の一つです。
 農業経営体数が減少し、生産コストも上昇する中、これまでと同じやり方を続けるだけでは、維持することが難しくなっていくと考えます。

 特に水稲栽培では、ちょうど今時期、春の作業が短期間に集中するため、省力化、低コスト化をどう進めていくかが大きな課題です。
 省力化·低コスト化技術を、ただ実証するだけにとどめず、現場で使える技術として、どう広げていくかも重要だと考えます。

【質問①】本県の水稲を作付けしている経営体数及び米の生産コストの現状について伺いたい。

 そこで、まず、本県で水稲を作付けしている農業経営体数と、米の生産コストの現状について伺います。

回答:福士農産園芸課長
  • 2025年農林業センサスによると、本県の販売目的で水稲を作付けした農業経営体数は1万2,804経営体で、5年前の2020年に比べ約27%減少しています。
  • 米の生産コストについては、国が公表している直近のデータによると、本県の令和6年産の60キログラム当たりの生産費は1万3,508円となっており、5年前の令和元年産に比べ約19%上昇しています。

 この5年間で3割ぐらい農業経営体数が減少して、一方で生産コストは2割ほど上昇しています。
 生産コストが上昇する要因は様々あると思いますが、特にどのような費用が上昇しているのか、もう少し具体的にお聞きします。

回答:福士農産園芸課長
  • 国が公表している米の生産コストについて、直近の令和6年産と5年前の令和元年産を比較すると、本県で最も生産コストが上昇している項目は肥料費で、約47%上昇しています。

【質問②】 今年度、県では水稲栽培の省力・低コスト生産技術の確立に向けて、どのように取り組んでいるのか伺いたい。 

 肥料費が最も上昇しているとのことです。

 昨今の中東情勢などを踏まえると、化学肥料などの価格が今後も上がっていくのではないかと懸念しています。また、先ほど雪害の話もありましたが、青森県では雪に伴うコストについても考えていかなければなりません。

 今年度、県では、水稲栽培の省力·低コスト生産技術の確立に向け、どのように取り組んでいるのか伺います。

回答:福士農産園芸課長
  • 県では、労働力不足や物価高騰に対応するため、育苗を必要としないV溝乾田直播栽培や低価格な肥料の使用など、省力·低コスト生産技術を組み合わせることにより、玄米60キログラム当たりの生産コストを7,000円以下に抑える「超低コスト米」の生産体系の確立に取り組んでいます。
  • 今年度は、さらなる省力化を図るため、耕起を行わない不耕起V溝乾田直播栽培や、大豆を栽培することで土壌中の窒素が増える効果を利用し、大豆の作付け後に水稲を栽培することで、肥料コストを大幅に抑える技術の実証を行っています。

【質問③】 本県における乾田直播栽培の面積の推移と今後の対応について伺いたい。 

 低コスト米については、これまでも議場で取り上げられてきました。
 お米をただ「安く、安く」とすることには様々な難しさがありますが、生産にかかるコストを抑えることは重要だと思います。
 先ほど答弁のあったV溝乾田直播についても、進めていただきたいと思います。

 青森市でも直播栽培が進んでいるという話を聞きますが、本県における乾田直播栽培面積の推移と、さらに普及を進めるための今後の対応について伺います。

回答:福士農産園芸課長
  • 本県における令和7年度の乾田直播栽培面積は1,715ヘクタールで、5年前の令和2年度に比べ約2倍となっています。
  • 乾田直播栽培をさらに拡大していくに当たっては、専用の播種機などの導入コストが高いことに加え、収量に大きく影響する入水前の除草や水管理作業など、移植栽培にはない技術を新たに習得することが課題となっています。
  • このため、国の補助事業を活用して播種機等の導入を支援するほか、各地域に設置する展示圃や、県産業技術センターが作成した栽培技術マニュアルを活用しながら、引き続き、生産者を対象とした研修会や個別指導を実施していきます。

 乾田直播、どうやっていくんだろうという興味、関心がある農家さんも結構いると思うんですけども、実際の作業を見なければ分からない部分もあり、従来の栽培方法とは必要となる技術も異なります。
 研修会や個別指導を積極的に進め、導入してみたい、やってみようという農家が増えていくことを期待します。

 水田農業を維持していくためには、省力化·低コスト化技術を実証するだけでなく、どの地域、どの経営体、どのような圃場で効果が出るのかを整理し、現場に広げていくことが重要です。

 乾田直播栽培をはじめとした技術の普及に、引き続き力を入れていただきたいと思います。

漁業就業者の確保・育成について

 では次の質問に移ります。漁業就業者の確保·育成について。漁業に関しての質問です。

 今、農林水産業に限らず、あらゆる分野で人手不足や後継者不足が指摘されていますが、実際に水産業に関して、本県、どういう状況なのかというのを確認していきたいと思うんです。

 本県の水産業を将来にわたって維持していくためには、資源管理や高水温対策だけでなく、実際に漁業を担う人をどのように確保し、育成し、定着させていくのかを考えなければなりません。
 ホタテが本当に厳しい状況で、イカサバについても、TACであったりと問題などがあり、様々な課題を抱えています。

 水産資源の話も重要です。
 でも、いざ漁業を担う人がいなければ、産業を維持することはできない。
 特に漁業就業者の減少であったり、高齢化であったりは、漁業経営だけでなくて、漁村の維持、地域経済にも大きく関わっていく課題だと思っています。

 また、近年、外国人材の受入れなどもあったりすると思うんですけれども、漁業の現場の人手不足を考える上で、その状況を把握することも重要です。

【質問①】本県における漁業就業者の状況について伺いたい。

 まず、本県における漁業就業者の状況について伺います。

回答:山本水産振興課長
  • 漁業センサスによると、本県における令和5年の漁業就業者数は約6,900人であり、平成25年からの10年間で約3割減少しています。
  • 年齢別就業者の割合は、35歳未満が9%、35歳以上65歳未満が47%、65歳以上が44%となっています。平成25年と比較すると、65歳以上の割合が9ポイント増加しています。
  • また、県が沿岸地区の漁協を対象に毎年行っている新規漁業就業者数調査では、直近のデータである令和6年度の新規就業者は9名となっています。

 漁業就業者は10年間で約3割減少し、65歳以上が44%を占めています。
 一方、35歳未満は9%と1割に満たず、かなり深刻な状況だと思います。

 漁業就業者の減少は県全体の課題ですが、地域や漁業の種類によっても、課題や深刻さが異なると思います。
 県として、特に担い手不足が深刻だと見ている地域や漁業の種類を把握しているのでしょうか。

回答:山本水産振興課長
  • 特に、漁業労働者を雇用する中規模·大規模漁業においては、船員不足という話を聞いています。
  • また、小規模な沿岸のホタテガイ養殖などは、個人や家族で営まれていることが多く、人手不足というよりは、地域全体として人材が少なくなっている状況にあると承知しています。

【質問②】本県漁業における外国人材の雇用状況について伺いたい。

 漁業に限らず、地域そのものに人がいなくなっているということだと思います。
 その中で、どのように産業や地域を維持していくのかを考えなければなりません。

 令和6年度の新規就業者が9名という状況は、本当に深刻です。
 そうした中で外国人材の雇用という話にもなってくると思うんですが、本県の漁業における外国人材の雇用状況についても伺います。

回答:山本水産振興課長
  • 青森労働局の調べによると、令和7年10月末時点の本県漁業における外国人労働者数は157名となっており、5年前と比較して2倍以上に増加しています。
  • 在留資格別では、技能実習が76名、48%と最も多く、次いで特定技能が69名、44%となっています。

 外国人材の雇用も、今、5年前と比べて2倍以上になっているという話でした。漁業の現場においても重要な担い手となっているかと思います。

 一方、外国人材を受け入れる際には、大規模な経営体と小規模な漁業者とで対応力に差があるのではないかと思います。
 受入れ環境の整備について、県では助言や支援を行っているのでしょうか。

回答:山本水産振興課長
  • 基本的には個別の漁業者の判断となりますが、漁業就業者数が減少する中、労働力を確保するため、外国人材に頼ることが必要な経営体もあると承知しています。
  • こうした中、県が事務局を担っている青森県漁業士会では、5月27日に「外国人材雇用基礎セミナー」を開催することとしています。
  • 浜の指導的立場にある漁業士の方々に、外国人雇用に関する基礎的な知識を学んでもらい、今後の円滑な雇用につなげていただきたいと考えています。

【質問③】新規就業者の確保・定着及び後継者育成に向けた県の取組について伺いたい。

 日本の漁業の仕組みや基本的なルール、言葉の問題などもあります。
 外国人材が安心して働ける環境の整備や、受入れ体制への支援にも取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、漁業の新規就業者の確保と定着、後継者の育成に向けた県の取組について伺います。

回答:山本水産振興課長
  • 県では、新規就業者の確保に向けて、首都圏で開催される漁業就業支援フェアへの参加や、県内での就業希望者向けイベントの開催、ウェブサイト「あおもり漁師への道」の活用により、青森県の漁業の魅力を紹介しています。
    漁業への理解を深めてもらうとともに、漁業求人情報の紹介なども行っています。
  • また、新規就業者の定着促進等のため、新規就業者が漁業現場で長期研修を行う際には、指導に当たる漁業者が、国の経営体育成総合支援事業による支援を受けることができます。
    県では、本事業の取りまとめを行う県漁連に対し、漁協への周知と積極的な活用を促しています。
  • さらに、後継者の育成については、毎年「賓陽塾」という研修を開講しています。漁業関係法令や資源管理などの基礎的な知識を習得する座学、ロープワークなどの漁業技術実習を実施しているほか、漁業現場では、県の水産業普及指導員による技術指導や助言を行っています。

 新たに漁業に就業してもらうだけでなく、実際に定着してもらうことも非常に重要です。
 技術を身につけ、その後も技術を更新しながら、漁業を持続していくことができる環境が必要です。

 賓陽塾の話もありました。
 これ、全然知らなかったんですけれど、結構前からあるみたいで、こうした研修を引き続き実施し、若い方をはじめ、多くの方に受講してもらいたいと思います。

 漁業就業者の減少は、水産業だけの問題ではなく、漁村や地域そのものの維持にも関わる課題です。
 新規就業者が年間9名という状況の中で、担い手をどのように増やしていくのかは非常に難しい課題です。
 しかし、単に新規就業者を確保するだけでなく、就業後の定着、所得の確保、後継者の育成までを一体的に考える必要があります。
 引き続き、漁業の担い手の確保·育成に向けた取組を強めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

質問を終えて

 水田農業では、担い手の減少と生産コストの上昇が同時に進んでいます。
 県は、V溝乾田直播や不耕起栽培、大豆作付け後の水稲栽培などを組み合わせた省力·低コスト技術の実証を進めていますが、重要なのは、実証で終わらせず、どの地域、どの経営規模、どのような圃場で効果を発揮するのかを整理し、生産者が実際に選択できる技術として広げていくことです。

 漁業については、就業者が10年間で約3割減少し、令和6年度の新規就業者は9名にとどまっています。
 外国人材も重要な担い手となる中、求人情報の発信や研修だけでなく、就業後の定着、所得の確保、技術の継承、受入れ環境の整備までを一体的に進める必要があります。
 特に、個人·家族経営が多い沿岸漁業では、個々の経営体だけに任せず、漁協や地域、県が支える仕組みが重要だと考えます。

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