
ナラ枯れ被害対策と陸奥湾ホタテガイの親貝確保についての質問
農林水産委員会で、県内30市町村まで広がったナラ枯れ被害について、「守るべきナラ林」の選定と市町村への支援、県民への周知について質問しました。
また、陸奥湾ホタテガイについて、令和9年春に親貝となる貝の保有枚数が5,185万枚と、最低限必要とされる6,500万枚を下回る中、親貝の確保、共同管理、北海道から移入した稚貝の扱いについて県の考えを確認しました。
今回のポイント
- 令和7年シーズンのナラ枯れ被害は、民有林と国有林を合わせて約11万9,000本。被害発生は県内30市町村まで拡大。
- 県は、公益性の高い「守るべきナラ林」を民有林で13か所選定し、薬剤注入や周辺被害木の駆除に対して経費の4分の3を補助。
- 今後は、枯死木の枝折れや倒木による人、家屋、道路、送電線などへの被害についても、県民への注意喚起を進める考え。
- 令和9年春に親貝となる貝は5,185万枚。最低限必要とされる6,500万枚を下回り、県は「非常に危機的な状況」と答弁。
- 陸奥湾で安定生産に必要な親貝数は1億4,000万枚。県は親貝数の下限設定、養殖技術開発、基金支援などを進めている。
- 県は、漁協・漁業者が共同で親貝を管理・確保する取組を「陸奥湾ホタテガイ産業のあり方検討会」で提案。
- 北海道産稚貝は、陸奥湾産ホタテとの交雑によって高水温耐性を低下させる懸念があるため、親貝にはせず半成貝で出荷するのが適切との考え。
目次
ナラ枯れ被害対策について

小笠原です。私は、先ほど菊池委員からも御質問ありましたが、ナラ枯れ被害対策について質問したいと思います。
先月末に令和7年シーズンの被害発生状況確定値が出たということで、そういうこともあって、改めて聞きたいと思っています。
1年ほど前になるんですけれども、昨年9月、中泊町の大沢内ため池公園に行って、実際にナラ枯れの被害を見てきました。
それこそ、先ほどの菊池委員のお話にもありましたが、夏なのに紅葉したみたいに赤くなり、そうした木が一帯に広がっていて、「あっ紅葉かな?でも、まだそんな時期じゃないよな」と思ったんですが、それが全部、紅葉ではなく、ナラ枯れなんですね。
米粒よりも小さいカシノナガキクイムシが木の幹に入り込んで、そのときに出る大量の木くずも木の根元にばーっとあって、フラスって教わりましたけれども、幹にたくさん穴が空いているのを確認できました。
1本、2本、木が枯れるという話ではなくて、ばーっと広がったときの森林への影響の大きさというのは大変なことだなというのを現場で感じたところです。
カシノナガキクイムシがナラ類の幹に入るときに病原菌を一緒に持ち込んで、木の中で水が吸い上げられなくなって枯れてしまうというナラ枯れなんですけれども、県内でも被害区域がどんどん広がって、30市町村まで広がってしまった。
私の地元の青森市でも、浅虫であったり、久栗坂であったり、そうしたところでも被害が確認されていて、そこからさらに市内に広がっている状況です。
ナラ枯れの被害となるナラ類というのは、単なる木材資源だけではなくて、里山の景観をつくって、水源の涵養であったり、土砂災害の防止にもなる、生物多様性の保全といった森林の多面的機能を支えている存在でもあります。
ただ、ここまで被害が広がってしまうと、全てのナラ類を同じように守るというのは、現実には難しい状況だと思います。
だからこそ、公益性が高い森林、失われたときの影響が大きい森林をはっきりさせて、そこを重点的に守っていくという考え方は、これまで以上に大事になると思っています。
そして、先ほど答弁にもあった「守るべきナラ林」についての質問です。
県海岸防災林など公益的機能の高い森林、天然記念物や重要文化財と一体になった森林、景勝地や森林公園、神社、仏閣などの御神木など、特に守る必要のある森林を「守るべきナラ林」として選んで、重点的に保護するという話を聞いています。
被害が急速に広がる中で、限られた人と予算をどこに重点的に投入するかというのは、今後のナラ枯れの対策を考える上でも重要なポイントだと思っています。
【質問①】「守るべきナラ林」を選定することとした経緯と、守るべきナラ林を選定した市町村に対する県の支援の内容を聞きたい。
そうした中で、1点目の質問として、守るべきナラ林を選定することとした経緯と、守るべきナラ林を選定した市町村に対する県の支援の内容を聞きたいと思います。
回答:毛内林政課長
- 被害が県の対策を上回る速さで全県規模に拡大し、伐倒、薫蒸処理等による被害木の全量駆除が困難となったことを受け、令和7年度から県や市町村が海岸防災林や森林公園など公益性の高い守るべきナラ林を選定し、重点的に保護対策を実施することとしたもので、現在、民有林で13か所を選定しています。
- 県では、選定した市町村が行う保護対策を支援するため、ナラ枯れの病原菌の増殖を防ぐ薬剤注入や、守るべきナラ林周辺の被害木の駆除に対し、その経費の4分の3を補助しています。
現時点では、民有林13か所を指定しているということでした。ただ、市町村によって、被害の把握に必要な人員であったり、専門性であったり、対策に充てられる財源というのに違いがあると思うんです。
市町村からそういった申出を待つだけだと、本来守る必要のある森林が予算の関係でなかなか選定できないということもあったりするのかもしれない。
県として被害の分布や森林の広域的な機能を踏まえて、候補地をもっとちゃんと示したり、選定が進んでいない市町村に対して、もっと働きかけていくようなことなど、県内で対応になるべく差が生じないようにする支援の部分というのは考えていたりするのでしょうか。
回答:毛内林政課長
- 現在、守るべきナラ林の選定は市町村に委ねております。今、委員おっしゃったとおり、市町村の状況を今後も県として把握していきたいと思っております。
どれを選ぶべきなのか、これだけ広がっている中でなかなか難しい状況、そして予算も限られている中で、本当に難しい対応が市町村に迫られていると思いますが、県としても、きちんと支援をしていただければと思います。
【質問②】ナラ枯れ被害の影響について、県民への周知をもっと進めるべきだと考える。県の見解を伺いたい。
私も昨年現地を見るまでは、ナラ枯れという言葉は何回も聞いていたりしたんですけれども、赤くなってしまった木であったり、幹に空いた穴、根元にすごい木くずがばーっとあるのを見て、実際どんな状況なのか、正直、私も見るまでちゃんと分かってなかったんですね。
一般の県民の方も、聞いたことあるかもとか、もしくはナラ枯れって何ですか?という状況だと思うんです。
ナラ枯れが青森市でも浅虫、久栗坂はじめ、身近な場所で確認されていて、県内各地に広がっているわけです。
被害を早く見つけるために、行政や林業関係者が監視するだけじゃなくて、ふだんの生活の中で異変に気づいた県民の方から情報を寄せてもらうようなことも必要になってきたりするのかなと思います。
つまり、県民への周知をただ啓発するだけではなくて、被害木を早く見つけて、拡大を防ぐための対策そのものにもなり得ることだと思っています。
どんな木に被害が出やすいのか、夏に葉が急に赤くなる、根元に木くずがたまるといった特徴、それから見つけたときにどこに連絡すればよいのか、県民の方に分かりやすく伝えていく必要があると思っています。
まして、ナラ枯れによって、景観であったり、多面的な機能にどんな影響が出得るのかということもそうですし、ナラ枯れによって、木が危険木になる可能性もあるんですね。
身近にあったら、もしかしたらいきなり倒れてくることもあるかもしれないです。
そうしたことを踏まえて、ナラ枯れ被害の影響について、県民への周知をもっと進めるべきだと考えます。県の見解を伺いたいと思います。
回答:毛内林政課長
- 県では、これまで県民に対して、被害が発生するメカニズムや県内の被害状況について、ホームページやラジオ広報に加え、市町村の広報誌等で広く周知してきたほか、市町村や林業事業体に対しては、研修会を通して情報提供してきたところです。
- さらに、今後は、枯死木の枝折れや倒木のリスクが高まり、人や家屋、道路、送電線などへの被害発生が懸念されることから、市町村やインフラ施設の管理者と連携して、県民にこうした危険性についても注意喚起を行っていく必要があると考えています。
危険木に関しては、本当に起こってしまってから遅いと思いますし、どんどん広がっている状況なので、ナラ枯れって何なんだろう、より多くの県民に知ってもらうということで、例えば公園であったり、山の入り口みたいなところに、「これがナラ枯れです」と写真とかがあってもいいかもしれないです。
特別に広がっているところに関しては、なるべく分かりやすいような形で知ってもらう、そして対策もしていく。
この広がっている中で、何をどう守っていくのか、守るべきナラ林をどう選んでいくのか難しい状況ではあると思うんですけれども、少しでも被害を防いでいただくように頑張っていただきたいと思います。
参考:青森県「マツ類及びナラ類の伐採・移動・利用に関する留意事項」
海洋環境の変動に対応した陸奥湾ホタテガイ養殖の振興について
関連するこれまでの質問:4月の農林水産委員会 / 6月の農林水産委員会
次に、海洋変動に対応した陸奥湾ホタテガイ養殖の振興について質問したいと思います。
今回、この質問を考えたきっかけは、実際に平内のホタテ漁業者の方から話を聞いた上でのことなんですが、その方は半成貝を中心に生産しながらも、成貝、親貝も一定程度残してリスクを分散していたということなんです。
今回の大量へい死で被害は受けたんですけれども、半成貝だけ生産してきた場合と比べれば、親貝を育ててきたことが経営上の備えにもなったということです。
陸奥湾の湾内で生まれたラーバを採苗器に付着させて稚貝として育てる、そういった採苗を基本としていますが、極めて単純な話なんですけれど、親貝、漁業者の方はよく母貝(ぼがい)という言い方をしますね、
親貝がいなければ、そういったラーバや、次の世代の稚貝というのがそもそも生まれない。
北海道から稚貝を移入することは、当面の生産や経営を支える上で必要な対策ではあると思いますが、しかし、それだけで陸奥湾産のホタテが再生産するわけではないと思います。
陸奥湾産ホタテ、ずっと厳しい状況が続いています。
その中で、陸奥湾産の親貝をしっかり確保して、次の世代へつないでいくことができるのか。
逆に言えば、親貝確保がきちんとできていけば、現在厳しい状況であったとしても、復活への道筋というのはつけることができると思っています。
【質問①】現在の親貝の保有枚数について伺いたい。
そこで、まず、現在の親貝の保有枚数について伺いたいと思います。
回答:山本水産振興課長
- 今年5月に実施した春季陸奥湾養殖ホタテガイ実態調査の結果、令和9年春に親貝となる貝の保有枚数は、4月30日現在で5,185万枚となっており、採苗不振になる危険性が少なくなる目安として最低限必要とされる6,500万枚を下回っている状況です。
- 参考:令和8年度春季養殖ホタテガイ実態調査
5,185万枚で、6,500万枚が最低限のラインかなというところですけれど、それから1,300万枚くらい少ないという状況です。この5,185万枚という状況を県としてはどのように評価しているんでしょうか、それも確認したいと思います。
回答:山本水産振興課長
- 先ほど申し上げました6,500万枚は、採苗不振になる危険性が少ない最低ラインということで、それを下回っているということについては非常に危機的な状況だと考えています。
- さらに、陸奥湾で安定生産に必要な親貝数は1億4,000万枚とされておりまして、それを考えても大きく下回っているということで、親貝確保に努めていくべきだというふうに考えております。
安定的にやっていくには本当は1億4,000万枚あれば望ましいけれど、その3分の1ぐらいの状況になってしまっていて、親貝をどう確保していくのかというのを本当に考えなければいけない状況だと思います。
海の状況というのは正確に予測したりするのは難しい。
【質問②】親貝の確保について、現時点でどのように取り組んでいくのか。
親貝の確保について、現時点でどのように取り組んでいくのか、そこの部分も確認したいと思います。
回答:山本水産振興課長
- 県は、陸奥湾ホタテガイ総合戦略に基づく取組として、湾内漁協に対し、親貝数の下限を設定する協定を締結するよう、具体的な数値等を示して促しているほか、県産業技術センター水産総合研究所と連携し、高水温に対応した成貝養殖技術の開発を進めるとともに、漁協ごとに漁業者を集めて座談会を開催して、親貝づくりの重要性などを科学的データで説明することにより、漁業者の意識向上にも取り組んでいるところです。
- また、高水温被害により不足する親貝を緊急的に確保するため、親貝出荷を抑制することを目的に、むつ湾漁業振興会が造成する基金に対し、令和7年度11月補正予算により基金造成額の2分の1を支援いたしました。
県としては、これまでも親貝を残すように、漁業者であったり、漁協とかにずっと繰り返し呼びかけてきたと思うんです。
大量へい死であったり、親貝の不足が起きるたびに基金を設けたりということもあったり、出荷抑制する対策もしてきた。
県の総合戦略でも、半成貝はそもそも成貝より養殖の期間が短くて、1年ぐらいでできますから、高水温の時期を避けて出荷できるということで、青森でも半成貝をやってきた。
北海道はどうしても地まき中心で3、4年とやれば大きい貝ができるから、そこで戦うという部分でも差別化する必要があったと思います。
半成貝として出荷すれば、早く収入にはなるんですけれども、親貝まで育てるとなると、夏を越すへい死のリスクというのも引き受けることになります。
ずっと県としては親貝を確保するようにと呼びかけてきたけれども、実際になりわいがありますから、難しい。
【質問③】親貝を共同管理する「聖域」「サンクチュアリー」のような仕組みを、総合戦略の中でより具体化していく考えはあるのか。
そうした中で、共同管理して親貝を確保していくべきではないかと。
聖域というか、サンクチュアリーというか、そういったものをつくるべきではないかという話をされていると聞いたんですね。
そういった聖域、サンクチュアリーの構想、そうした部分というのは、今、総合戦略の中でより具体化していく考えはあったりするのでしょうか。
回答:山本水産振興課長
- 現状としましては、今、漁業者さん、漁協ごとでばらばらに親貝を放流したり、海に養殖として沈めている状況でございます。
- そういった中で、親貝がちゃんと生き残れるような適地を科学的なデータに基づいて調査しており、陸奥湾の漁協さん、漁業者さんが共同で親貝を管理・確保するといった取組が肝要ではないかということで、先月開催しました第2回の陸奥湾ホタテガイ産業のあり方検討会において提案させていただいたところでございます。
こうした状況になると、共同で管理してやっていく、どう一体として進めていくのかが重要であるので、どこが適しているのか、いろいろ難しい問題があると思うんですけれども、私個人としては、共同管理というのはすごくいい在り方なのかなと思っていますので、漁業者さんともよく話し合いながら進めていっていただければと思っております。
【質問④】北海道から移入した稚貝は、親貝向けにも生産するのか。県の考えを伺いたい。
最後にお聞きしたいのが北海道から移入した稚貝に関してです。
今現在も北海道から移入した稚貝があると思うんですが、北海道から移入した稚貝というのは親貝向けにも生産したりするんでしょうか。
県の考えについて伺いたいと思います。
回答:山本水産振興課長
- 水産総合研究所が民間の研究機関とホタテガイの水温耐性について共同研究した結果、陸奥湾のホタテガイは北海道のものに比べて高水温に強い傾向があることが示唆されています。
- そのため、北海道から移入した稚貝については、親貝まで養殖した場合に、陸奥湾のホタテガイと交雑することで、これまで陸奥湾のホタテガイが獲得してきた高水温耐性を低下させる懸念が強くなることから、親貝向けにはせずに、交雑の可能性が低い半成貝で出荷することが適切であると考えています。
- 参考:青森県産業技術センター「水と漁」第50号 「噴火湾と陸奥湾ホタテガイの水温耐性」
そもそも陸奥湾のほうが暖かいから、高水温に強いだろうというのも当然の話で、それが交雑してしまうと、おかしいことになると言ったらあれですけれども、北海道産のもの、陸奥湾産のものが混じって、いろいろ影響が出てきてしまうというのは想像できることであるので、そうした考えも十分に理解できます。
基本的には出荷ベースでやるということでした。
本来は最低でも6,500万枚が必要な中で、5,200万枚弱ということで、本当に厳しい状況ではあるんですが、やっぱり親貝を確保できなければ、どうやったって続いていくことができない。ここが正念場だと思います。
いろんな副業魚種とかを考えながらも、親貝を確保するために、正直、そこを一番、踏ん張らなければいけないのかなと思っています。
そこが分岐点になると思っていますので、引き続き関係者と協議しながら進めていっていただいて、ホタテ総合戦略もよいものに改訂していただければと思います。
質問を終えて
ナラ枯れについては、危険木に関して本当に起こってしまってからでは遅い。
被害がどんどん広がっている中で「ナラ枯れって何なんだろう?」というところから、より多くの県民に知ってもらう。
何をどう守っていくのか、守るべきナラ林をどう選んでいくのか難しい状況ではありますが、少しでも被害を防いでいかなければなりません。
陸奥湾ホタテについては、本来は最低でも6,500万枚の親貝が必要な中で、5,200万枚弱。
親貝を確保できなければ、どうやったって続いていくことができない。
副業魚種なども考えながら、それでも親貝を確保するために、まずそこを踏ん張る。
ここが今後の陸奥湾ホタテの正念場、分岐点になると考えています。

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