
岐阜県・愛知県視察報告|地域にあるものを、地域の未来につなげる
目次
地域にあるものを、地域の未来につなげる
令和7年10月、会派の県外視察で岐阜県と愛知県を訪れました。テーマは、小水力発電、林業人材育成、学びの多様化学校、ペロブスカイト太陽電池、文化芸術です。
並べてみると、ずいぶん幅広いテーマに見えるかもしれません。でも、私の中では一本の線でつながっています。地域にある水、森、学校、技術、文化を、どう地域の未来につなげるか。青森県にも同じ問いがあります。
視察は、どこかの先進事例をそのまま青森に持ってくればよい、というものではありません。気候も地形も、人口規模も、地域の歴史も違います。ただ、他県の実践を見ることで、青森でまだできること、問い直すべきことが見えてきます。




視察の概要
日程
令和7年10月22日から24日
主な視察先
石徹白水力発電所、岐阜県立森林文化アカデミー、岐阜市立草潤中学校、愛知県庁、愛知芸術文化センター
主なテーマ
小水力発電、林業人材育成、学びの多様化、ペロブスカイト太陽電池、文化芸術
青森県政との接点
再エネの地域活用、森林・林業政策、不登校支援、多様な学び、文化施設の連携
1 石徹白の小水力発電|結局、人の思いだ


岐阜県郡上市の石徹白では、地域住民が主体となって小水力発電に取り組んでいました。人口約60人、高齢化率が6割を超える集落です。普通に考えれば、かなり厳しい条件です。けれども、その地域で小水力発電を軸に、地域活動、福祉、古民家の活用、在来種の保存、移住者の受け入れなどが少しずつ動いていました。
おもしろい、という言い方が適切かわかりませんが、これは単に発電設備を入れた話ではありません。外から大きな資本が入り、地域に施設だけが残るという話でもない。住民が出資し、運営に関わり、売電収入の一部を地域に戻していく。小さくても、地域の中でお金と活動を回す仕組みになっていました。
説明を聞いていて、特に残ったのは、上村組合長の「結局、人の思いだ」という言葉です。制度や補助金も大事です。技術も大事です。でも、そもそもこの地域をどうにかしたい、という人の思いがなければ始まらない。そこが一番大きいのだと思います。
青森県政につなげるなら
青森県にも水資源はあります。すべてを大規模開発で考えるのではなく、地域主体の小さな再エネ、農山漁村の収入源、災害時の非常用電源、地域活動費への再投資という視点を持ちたいです。県としては、技術支援、協同組織づくりの助言、人材育成などで、地域の主体性を後押しする形が現実的だと思います。
2 森林文化アカデミー|森の問題は、人の問題




岐阜県立森林文化アカデミーでは、林業を単なる技術としてではなく、森と人との関係全体として捉えていることが印象的でした。合言葉のように出てきたのが、「森の問題は、人の問題である」という考え方です。
林業は、木を切る仕事というだけではありません。森を育て、道をつくり、木材を加工し、建築やデザインにつなげ、地域の暮らしや文化につなげていく仕事です。アカデミーでは、現場で学ぶことを重視し、森林組合、製材所、建築現場、自治体などと連携しながら、即戦力となる人材を育てていました。
敷地内にあるmorinosもよかったです。森に入ったことがない、山を歩いたことがない子どもに、いきなり林業を語っても届きません。まず森を感じる。触れる。遊ぶ。そこから関心が育っていく。この順番は、とても大事だと思いました。
青森県政につなげるなら
青森県にはスギ、ヒバをはじめ、豊かな森林資源があります。ただ、資源があることと、それを活かせることは別です。林業の担い手育成、県産材の利用促進、建築士やデザイナーとの連携、子どもたちへの森林教育をつなげて考える必要があります。「木を切る」だけでなく、「森を育て、地域を元気にする」人材育成が大事です。
3 草潤中学校|学校が子どもに合わせる




岐阜市立草潤中学校は、文部科学省の「学びの多様化学校」です。不登校や学校に通いづらい子どもたちに対し、従来の学校に子どもを合わせるのではなく、学校のほうが子どもに合わせていく。かなり思い切った学校でした。
教育目標は「ありのままの自分で学ぶ」。服装、カバン、登校時間、時間割、学ぶ場所、休む場所、担任まで、生徒自身が選べる部分が多くあります。校内のどこで授業を受けてもよいし、自宅から学ぶこともできます。学校行事も生徒の意見を取り入れながら決めていくとのことでした。
もちろん、こうした学校には賛否があると思います。従来の学校像からすれば、かなり違います。けれども、不登校が増え、学校そのものがしんどい子どもがいる現実を前に、「みんな同じ形に戻す」だけでは限界があります。草潤中学校は、そもそも学校とは何か、学びとは何かを問い直しているように感じました。
青森県政につなげるなら
青森県でも不登校の子どもたちは増えています。学校復帰だけを目的にするのではなく、学びの保障、居場所、ICT、地域の人材、学校外の教育資源を組み合わせる必要があります。どの地域に住んでいても、自分らしく学べる選択肢を増やしていくことが大切です。
4 ペロブスカイト太陽電池|再エネを対立で終わらせない

愛知県庁で、ペロブスカイト太陽電池の推進について説明を受ける。
愛知県では、次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池について調査しました。軽量で、柔らかく、壁面や曲面にも設置できる可能性がある技術です。従来型の太陽光パネルとは違い、建物と一体化するような使い方も想定されています。
青森県で再エネを考えるとき、どうしてもメガソーラーへの反発、景観や自然環境への懸念、地域との対立が出てきます。私自身、再エネを進めたい立場ですが、地域を無視した再エネには当然慎重であるべきだと思っています。だからこそ、ペロブスカイトのような新しい技術は、単に発電量だけでなく、地域とどう調和できるかという視点で見る必要があります。
もちろん、まだ実用化や耐久性、コストなど課題はあります。それでも、県立学校や公共施設での実証、県内企業との連携、人材育成など、青森県としても早めに情報を取り、可能性を探る価値はあると感じました。
青森県政につなげるなら
寒冷、多雪、低日照という青森県の条件は、再エネ導入の制約にもなります。しかし、だからこそ新しい技術の実証フィールドにもなり得ます。再エネを地域との対立で終わらせず、地域の産業や公共施設、災害対応と結びつける政策にしていきたいです。
5 愛知芸術文化センター|文化は余白ではなく、地域の力




愛知芸術文化センターでは、美術、演劇、音楽、映像などを一体的に発信する文化施設のあり方を調査しました。愛知県美術館と芸術劇場が同じ場所にあり、展示、舞台芸術、教育普及、人材育成がつながっていることが大きな特徴です。
文化施設というと、どうしても「余裕があるときにやるもの」と見られがちです。でも、そうではないと思います。文化は、地域の誇りであり、子どもたちが世界に触れる窓であり、観光やまちづくりともつながる資源です。
青森県にも、県立美術館、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館など、個性のある施設があります。さらに、演劇、音楽、映画、文学、祭り、民俗芸能など、地域に根ざした文化もあります。課題は、それぞれが点のままで終わらず、どうネットワークとしてつながるかです。
青森県政につなげるなら
文化芸術は、観光のためだけにあるのではありません。地域で暮らす人が、自分の地域をおもしろいと思えること。そのこと自体が大切です。県立美術館をはじめとした文化施設の連携、若い世代が本格的な芸術に触れる機会、地元アーティストの支援をもっと政策として位置づけたいです。
視察を終えて|青森にあるものを、どう活かすか
今回の視察で改めて感じたのは、青森県に足りないのは「資源」ではないということです。水も、森も、雪も、海も、文化も、学校も、地域の人の営みもあります。
ただ、それらがばらばらのままだと、地域の力にはなりにくい。水はエネルギーに、森は仕事と学びに、学校は子どもの居場所に、技術は産業に、文化は地域の誇りにつながっていく。そのつなぎ方を考えていきたいと思います。
出典:新政未来会派 派遣結果報告書(令和7年度)







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