一般質問【令和8年6月第326回定例会】

2026年6月18日、第326回定例会で一般質問を行いました。
今回が今年度、最初で最後の一般質問です。

観光情報発信、新たな県立博物館、ボールパーク、核燃料サイクル、再生可能エネルギー、生物多様性、動物の多頭飼育、社会的養護、子育て家庭への支援、高校生の学校生活、性の多様性、そして自殺・少子化対策まで、13のテーマを取り上げました。

※実際の議会では一括質問・一括答弁の形式で行われていますが、このページでは読みやすさを重視し、質問項目ごとに「質問」と「答弁」を並べる形で整理しています。

今回取り上げた13のテーマ

1. 映像コンテンツによる観光情報発信

2. 新たな県立博物館の整備

3. ボールパーク整備における施設規模と事業の進め方

4. 核燃料サイクル政策における立地県としての安全確認

5. 再生可能エネルギーの持続可能な活用の促進

6. 青森県生物多様性戦略における自然共生社会の構築

7. 動物の多頭飼育問題における社会福祉との連携

8. 社会的養護を経験した若者への支援

9. 家事や育児に不安や負担を抱える子育て家庭への支援

10. 物価高騰下における県立高校生の学校生活支援

11. 性の多様な在り方への理解促進

12. 学校における性的マイノリティーとされる児童生徒への対応

13. いのちと希望を支える県政(自殺対策・少子化対策)

 立憲民主・無所属の会の小笠原大佑です。

 今日が今年度最初で最後の一般質問です。
 項目は多岐にわたりますが、根っこにあるのは青森で暮らす人が希望を持って生きられる県政をつくりたいという思いです。

 それでは、質問していきます。

目次

映像コンテンツによる観光情報発信について

 まず、映像コンテンツによる観光情報発信についてです。

 「青森なんて何もない」。
 一体何度この言葉を聞いてきたでしょうか。
 そのたびに私は、そんなことはない、青森にだってちゃんとあると思ってきました。
 自然、祭り、食、文化、温泉、町並み、津軽弁や南部弁の響き、何気ない暮らしの風景、青森には都会では受け取れない豊かさがあります。

 ただ、魅力はそこにあるだけでは届きません。
 誰かが気づき、すくい上げ、語り、届けていかなければ見過ごされてしまいます。

 今、旅の入り口は大きく変わりました。
 動画やSNSを見て、ここに行ってみたい、これを食べてみたいと思う人が増えています。
 県でも、まるごと青森や、はらぺこ青森などでSNS発信に取り組んでいるのは承知しています。
 例えば、過去の投稿では、青森市の食堂のメニューが「ちゅるるといきます夏の定番ざる中華」と紹介されていました。
 青森では当たり前にあるざる中華、中華ざるは、実は都会にはありません。
 これ一つを取っても県外の人にとっては新鮮かもしれません。青森にだって、あるんです。

 しかし、大切なのは、投稿して終わりにしないことです。
 誰の心に届き、青森へ行ってみたい、食べてみたいという動きにつながっているのか、伝え方を育てる必要があります。

 また、映画、ドラマ、テレビ番組などのロケーション撮影には、地域の風景を物語として届ける力があります。
 古くは映画「八甲田山」や、アニメでは新海誠監督の「雲のむこう、約束の場所」など、青森はこれまでも多くの物語の舞台になってきました。
 作品の舞台になった地域に人が訪れる、知らなかった景色や町に関心を持つ、青森にもまだ眠っている物語があるはずです。
 だからこそ、撮影に来てもらう働きかけ、ロケ地の相談、市町村や関係団体との連携、撮影後の観光活用までを一つの流れで考える必要があります。
 制作側と地域をつなぐフィルムコミッションの機能をどう生かすかも重要です。

【質問①】 SNSを活用した県の観光情報発信について、これまでの成果と課題をどのように認識しているのか。

 そこで質問します。

 1点目、SNSを活用した県の観光情報発信について、これまでの成果と課題をどのように認識しているのか。

回答:観光交流推進部長(工藤泰正)
  • 観光情報発信における映像コンテンツの重要性が高まる中、県では、インスタグラムなどのSNS公式アカウントを活用し、ストーリー性を重視したショート動画の発信を強化しており、令和7年度は190件の投稿で総視聴回数が約857万回に達するなど、本県観光の認知度向上に寄与しています。
  • 一方、変化の速いSNSのトレンドや、多様化する視聴スタイルへの対応が課題であると認識しており、投稿データを継続して分析することや外部専門家の知見を活用することで本県への旅行動機を高める、より効果的な情報発信に取り組んでいきます。

【質問②】 テレビ番組や映画・ドラマなどのロケーション撮影の誘致について、県のこれまでの取組状況と今後の方針について伺いたい。

 2点目、テレビ番組や映画、ドラマなどのロケーション撮影の誘致について、県のこれまでの取組状況と今後の方針を伺います。

回答:観光交流推進部長(工藤泰正)
  • 県では、テレビ番組の制作会社への情報提供や取材支援を通じてテレビ番組の撮影を誘致し、本県の観光情報の露出拡大に取り組んでおり、令和7年度は31件の旅番組や情報番組での露出がありました。
  • また、今年度からジャパン・フィルムコミッションに入会し、ドラマや映画のロケーション撮影に関する情報収集を行うとともに、本県で撮影に適した場所や地域の魅力の発信、制作会社とのネットワーク構築等を進めて、ロケーション撮影の誘致につなげていきます。

新たな県立博物館の整備について

 次に、新たな県立博物館の整備についてです。

 映像が青森の物語を外へ届けるものだとすれば、博物館は、青森が歩んできた物語を未来へ手渡す場所です。
 県立郷土館は、ふるさとをつなぎ未来をつくるミュージアムとして、新たな県立博物館としての検討が進んでいます。
 観光として青森を外に伝えることも大切ですけれども、その前に私たち自身が青森を知ることが大切です。
 青森には、先人たちの暮らしがあり、祈りがあり、自然と共に生きてきた営みがあります。
 私は、郷土館をいぶし銀のような施設だと思ってきました。

 新たな県立博物館は、単なる展示施設ではなく、県民が青森の歩みと出会い、子供たちが自分の住む地域に目を向けるきっかけとなる場所であってほしい、そして、県内各地の資料館や文化財、人から人へ受け継がれてきたものをつなぐ拠点であってほしいと思います。
 その理想を形にするには、整備場所の理由を県民に分かりやすく示すこと、子供たちの学びや地域の文化資源をどう結ぶのかが重要です。

【質問①】 新たな県立博物館の整備場所候補地が決定した際には、選定理由を県民に分かりやすい形で示す必要があると考えるが、県教育委員会の見解は。

 では、質問です。

 1点目、新たな県立博物館の整備場所候補地が決定した際には、選定理由を県民に分かりやすい形で示す必要があると考えますが、県教育委員会の見解はどうか。

回答:教育長(風張知子)
  • 令和8年2月に県立郷土館整備検討会議がまとめた報告書では、整備場所候補地の基本的な考え方について、洪水、土砂災害、津波等の災害リスクが低いこと、県民が日常的に行きやすいこと、県外からの観光客が訪れやすいことの3項目に整理されています。
  • 県教育委員会では、これらの内容を踏まえて整備場所候補地を決定することとしており、新たな県立博物館が、「ふるさとをつなぎ未来をつくるミュージアム」として長く県民に愛される施設となるためにも、決定の際には選定理由等をお示ししたいと考えています。

【質問②】 新たな県立博物館において、教育普及に係る活動をどのように行っていくのか。

 2点目、新たな県立博物館において、教育普及に係る活動をどのように行っていくのか。

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、青森県教育振興基本計画に基づき、県民、特に子供たちがふるさと青森の歴史や自然、文化への理解を深め、郷土に誇りを持つことができる取組を推進することとしています。このため、県立郷土館では、学校、他の機関、地域等と連携し、出前授業や移動博物館、講師派遣、各種ワークショップ講座など、教育普及に関する活動を実施しています。
  • 新たな県立博物館においても教育普及の活動は重要であることから、これまでの取組も踏まえながら、一層の充実を図ることとしています。

【質問③】 新たな県立博物館を県内各地域の博物館、資料館、文化財等をつなぐ中核拠点として整備するべきと考えるが、県教育委員会の見解は。

 3点目、新たな県立博物館を県内各地域の博物館、資料館、文化財等をつなぐ中核拠点として整備するべきと考えますが、県教育委員会の見解を伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 県立郷土館では、青森県内の博物館の中核として、他の博物館などと連携を強化しながら、博物館活動の充実に努めています。
  • また、検討会議報告書においても、新たな県立博物館について、人、地域、博物館や関係機関及び民間団体などの有機的な連携を図りながら、青森県の豊かな自然や歴史、文化を継承すると示されています。
  • これらを踏まえ、県教育委員会では、新たな県立博物館が県内博物館の中核として多様な主体との積極的な連携、協働を図り、「ふるさとをつなぎ未来をつくるミュージアム」となることを目指して、基本計画策定等の取組を進めていくこととしています。

ボールパーク整備における施設規模と事業の進め方について

 続いて、ボールパーク整備における施設規模と事業の進め方についてです。

 博物館が青森の物語を未来につなぐ場所だとすれば、ボールパークは、新しいにぎわいを生み出す場所になり得ます。
 スポーツには町の空気を動かす力があります。
 一方で、県が整備する大規模施設である以上、夢や期待だけでは進められません。
 規模、運営、維持管理、将来世代への負担をどう考えるのか。
 特に今は建設コストが上がり続けています。
 造るときは盛り上がっても、その後の負担が重くなってはいけません。

 ボールパークという言葉には、単なる野球場を超えて、にぎわい、交流、健康づくり、地域経済の波及など、様々な期待が込められています。
 だからこそ、冷静さと透明性が必要です。

【質問①】 青森県ボールパーク整備基本計画における野球場の規模とその考え方について伺いたい。

 では、質問に入ります。

 1点目、青森県ボールパーク整備基本計画における野球場の規模とその考え方について。

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 青森県ボールパーク整備基本計画における野球場の規模については、グラウンドは両翼100メートル以上、中堅122メートル以上など、公認野球規則にのっとった規格とし、座席数は、プロ野球の公式戦にも対応可能となる固定席7,500席以上、かつ全体の収容人数は1万5,000人以上を確保することとしております。
  • これらの要件については、ボールパーク整備検討会議報告書の内容や野球関係者からのヒアリング、現県営野球場の利用実績や過去の地方球場におけるプロ野球公式戦の開催実績などを踏まえ、適切な規模となるよう検討したものです。

【質問②】 今年度実施するボールパーク整備推進事業アドバイザリー業務の内容について伺いたい。

 2点目、今年度実施するボールパーク整備推進事業アドバイザリー業務の内容について伺います。

回答:交通・地域社会部長(舩木久義)
  • 県では、PFI手法によるボールパークの整備に向けて、令和9年度に想定している事業者選定に係る入札公告までに、整備運営に当たっての与条件を整理した要求水準書等を作成することとしており、必要な検討や事務手続を円滑に進めるため、金融、法務、技術等の専門的な知見を有するコンサルタント会社とボールパーク整備推進事業アドバイザリー業務委託契約を締結しました。
  • 本業務では、事業者の公募、選定に至るまでの調査・検討事項の整理と選定プロセスに対する支援、物価変動等の社会情勢の変化に対応した整備事業とするための民間事業者へのヒアリングなどを行うこととしています。

核燃料サイクル政策における立地県としての安全確認について

 次に、核燃料サイクル政策における立地県としての安全確認についてです。

 ここまで、青森の魅力や文化、公共施設について伺ってきましたが、県民の暮らしや将来に大きな影響を与える政策ほど丁寧な説明が欠かせません。
 その一つが核燃料サイクル政策です。

 先日、日本原燃は、六ヶ所再処理工場について、国の審査会合での説明に一区切りがついたとして県に報告しましたが、度重なる竣工時期の延期や安全確認、操業開始の見通しなどをめぐり、長く県民の関心と不安が続いてきました。
 国や事業者の説明を県がどう受け止め、何を確認し、県民にどう説明するのか、立地県としての姿勢が問われています。

 今回、確認したいのは、竣工と操業の関係です。
 竣工とは何を確認した段階なのか、操業とは何が違うのか、竣工後にも確認すべきことが残るのか、県民にはまだ分かりにくいものです。

 特に焦点となるのがガラス溶融炉です。高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固める再処理工場の重要な設備です。
 模擬廃液で閉じ込め機能などを確認し、実廃液を用いた確認運転で処理能力などを確認する考え方が示されています。
 これまで竣工に向けた過程の中で、実廃液を用いたガラス固化試験により、運転性能や処理能力を確認してきた経緯があります。
 そうした中で、今回、実廃液での確認を竣工後に行うという考えを県はどう受け止めるのか、ここを曖昧にしたまま次へ進むことはできません。

 私は、県民に対して安全ですと言うだけでは足りないと思います。
 何を確認し、どこに不確実性や課題が残り、県として何をもって安全確認とするのか、県民が理解し、判断できる言葉で示されなければ、立地県としての責任を果たしたとは言えないのではないでしょうか。

【質問①】 六ケ所再処理工場における「しゅん工」と「操業」の関係について。また、それを県民に説明するべきと考えるが、県の認識は。

 そこで伺います。

 1点目、六ヶ所再処理工場における竣工と操業の関係について。
 また、それを県民に説明すべきと考えますが、県の認識はどうか。

回答:危機管理局長(簗田潮)
※「簗田」の「簗」は環境依存文字のため、代替の文字で表記しています。正しくは右上の部分が「刃」となる字です。
  • しゅん工や操業は法令に規定されたものではありませんが、県としては、事業者が実施する使用前事業者検査について、原子力規制庁により全ての検査結果が確認された後、使用前確認証が交付され、その交付をもってしゅん工となり、一方、しゅん工後、再処理工場を運転するに当たっての最終的な準備を整え、試験目的ではない運転の開始をもって操業になると考えています。

【質問②】 六ケ所再処理工場のガラス溶融炉において実施するとしている模擬廃液を用いた検査と実廃液を用いた試験について、それぞれの実施目的を伺いたい。また、日本原燃株式会社が実廃液を用いた試験をしゅん工後に行いたいとしていることに関する県の見解を伺いたい。

 2点目、六ヶ所再処理工場のガラス溶融炉において実施するとしている模擬廃液を用いた検査と実廃液を用いた試験について、それぞれの実施目的と日本原燃株式会社が実廃液を用いた試験を竣工後に行いたいとしていることに関する県の見解を伺います。

回答:危機管理局長(簗田潮)※「簗田」の「簗」は環境依存文字のため、代替の文字で表記しています。正しくは右上の部分が「刃」となる字です。
  • 日本原燃株式会社によると、模擬廃液を用いた検査については、しゅん工前の使用前事業者検査として、ガラス溶融炉の漏えいがないことの確認などの安全機能を確認することを目的として実施する、また、実廃液を用いた運転については、ガラス溶融炉の処理能力を確認することを目的として、操業までに実施するとのことです。
  • 県としては、国及び事業者においては、安全確保を最優先に取り組んでいただきたいと考えています。

再生可能エネルギーの持続可能な活用の促進について

 次に、再生可能エネルギーの持続可能な活用の促進についてです。

 エネルギー政策は、暮らしと産業を支える土台です。
 再生可能エネルギーも、ただ増やせばよいというものではありません。
 地域との共生、地域への還元、地産地消の視点が欠かせません。
 青森には、風、太陽、森、水、地熱など、豊かな自然資源があります。
 その資源が外から使われるだけで利益は外へ流れ、景観や環境への負担だけが残る、そうした形にしてはいけません。
 地域の資源を搾取されるような形にしてはならない。
 大切なのは、地域で生まれたエネルギーを地域で生かし、暮らしや産業に返していくことです。外に流れていたお金を地域内にとどめる視点も必要です。

 一方で、市町村だけで再エネを地域の力に変えるのは簡単ではありません。
 住民との話合いや事業者との調整もあります。
 だからこそ、県には市町村と一緒に考える役割が求められます。

【質問①】 青森県環境総合プランを踏まえ、再生可能エネルギーの地産地消を進める意義と、その実現に向けた県の考え及び取組について伺いたい。

 では、質問です。

 1点目、青森県環境総合プランを踏まえ、再生可能エネルギーの地産地消を進める意義と、その実現に向けた県の考え及び取組について。

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 再生可能エネルギーの地産地消は、地球温暖化対策としての温室効果ガスの抑制と、その取組による経済的メリット獲得の両立を県民に享受していただく取組です。
  • 本県は、豊富な再生可能エネルギー資源に恵まれ、個人レベルでも法人レベルでも様々な取組が進められており、家庭や企業のエネルギーコストの軽減だけでなく、その電源を活用した県内企業の取組拡大などを推進することにより、本県経済の好循環を進めていきます。

【質問②】 市町村が進める再生可能エネルギーの活用に向けた取組に対し、県はどのように支援していくのか。

 2点目、市町村が進める再生可能エネルギーの活用に向けた取組に対し、県はどのように支援していくのか伺います。

回答:環境エネルギー部長(豊島信幸)
  • 再生可能エネルギーの活用に向けては、市町村などの地域が地域の資源を活用し、地域の課題解決につなげる取組を進めることが重要と考えています。
  • 県としては、市町村が挑戦する取組に広域的な視点から助言を行うとともに、専門家などで構成する「あおもり地域脱炭素支援チーム」を派遣し、市町村のニーズや取組状況に応じた具体的な施策の企画立案について助言するなど、支援を行っています。

青森県生物多様性戦略における自然共生社会の構築について

 続いて、青森県生物多様性戦略における自然共生社会の構築についてです。

 白神山地、八甲田、十和田湖、陸奥湾、岩木川、奥入瀬、津軽半島、下北半島、この青森の豊かな自然に多様な生命が存在し、森、川、海のつながりの中で米が育ち、リンゴが実り、魚が取れ、私たちの暮らしが続いています。
 自然の中で私たちは生かされています。

 今、そのつながりが変わっています。
 先日は、青森市の中心部「クロスタワーア・ベイ」にツキノワグマが現れました。
 かつては考えられなかったことが起きています。
 近年の熊、そして、イノシシ、鹿をはじめとする野生鳥獣とのあつれきは、県民の命や暮らしに直結する深刻な問題です。
 人命を守ること、農作物被害を防ぐことは大前提です。
 しかし、出てきたら取る、被害が出たら対応する、それだけでは追いつかなくなっています。

 人が山に入らなくなり、里山が荒れ、集落の近くまで草木が茂る、人と野生動物の距離は確実に近くなっています。
 だからこそ、捕獲だけでなく、集落に近づけない環境づくり、出没情報の共有、地域で対応できる人づくりまで考える必要があります。
 自然との距離をどう整えるのか、自然と共に生きるあおもりをきれいな言葉だけで終わらせてはいけません。

【質問①】 生物多様性の重要性について、県の認識は。

 そこで伺います。

 1点目、生物多様性の重要性について、県の認識はどうか。

回答:環境エネルギー部長(豊島信幸)
  • 生物多様性は、生き物たちの豊かな個性とつながりのことで、人間の暮らしに必要な生態系サービスを支えるものです。
  • 生態系への配慮を欠いた開発などの人間活動による危機や、里地里山の荒廃などの自然に対する人間の働きかけの縮小による危機、外来種の侵入による危機などは生物多様性を損なう可能性があり、生物多様性の保全及び持続可能な利用にしっかりと取り組む必要があると認識しています。

【質問②】 基本理念の「自然と共に生きるあおもり」の実現に向けて、どのように自然共生社会の構築に取り組んでいくのか。

 2点目、基本理念である自然と共に生きるあおもりの実現に向けて、どのように自然共生社会の構築に取り組んでいくのか。

回答:環境エネルギー部長(豊島信幸)
  • 自然共生社会を構築していくためには、地域の自然やそこに生息、生育する生き物を知ること、生物多様性がもたらす恵みの価値を理解し、持続可能な利用を推進すること、様々な生き物たちの営みを理解し、守り育てることが必要であると考えています。

【質問③】 行動計画にある野生鳥獣と人との調和共存を図るため、どのように取り組んでいくのか。

 3点目、行動計画にある野生鳥獣と人との調和共存を図るため、どのように取り組んでいくのか伺います。

回答:環境エネルギー部長(豊島信幸)
  • 野生鳥獣と人間との調和共存を図るためには、地域個体群の安定的な存続と、生活環境、農林水産業などへの被害防止を基本としつつ、様々な方法で対応する必要があると考えています。
  • このため、鳥獣保護区の適切な指定及び鳥獣保護員の配置などの野生鳥獣の保護や、科学的知見に基づく計画的な保護管理対策に取り組むこととしています。
  • また、野生鳥獣との接し方などの情報発信、野生鳥獣の餌となるものを人の生活圏の中に放置しないなどによる人と野生鳥獣とのすみ分け促進、野生鳥獣被害防除の担い手である狩猟者の確保、育成などを推進していくこととしています

動物の多頭飼育問題における社会福祉との連携について

 続いて、動物の多頭飼育問題における社会福祉との連携についてです。

 先ほどは自然の中の命について伺いました。
 ここからは、暮らしのそばにいる命、犬や猫との関係について伺います。

 多頭飼育問題を、ただ飼い方が悪いで片づけることはできません。
 多頭飼育問題は、単に犬や猫を多く飼っていることではなく、頭数が増え、飼い主が世話をし切れなくなり、動物の健康や周辺環境、飼い主自身の暮らしに深刻な影響が出ている状態です。
 特に猫は繁殖力が高く、避妊去勢がされないままでは、短期間で頭数が増えてしまいます。
 餌や水、医療、清潔な環境が保てなければ、動物の命は危険にさらされます。

 動物がかわいそうだから引き取れば終わりではありません。
 多頭飼育問題を引き起こす飼い主には、精神・身体・経済的問題を抱えていることが多いのです。
 そして、人の孤立や生活の苦しさがそのままであれば、また同じことが起きてしまうかもしれません。
 だからこそ、一時的な保護だけでなく、再発を防ぐ見守りと生活支援が必要です。
 動物を守ることと、人の暮らしを支えることは一緒なのです。
 臭いや鳴き声、衛生環境の苦情が出てから把握するのでは、既に動物も人も追い詰められている場合があります。
 だからこそ、問題が大きくなる前に誰が気づき、どこへつなぐのか、その仕組みが必要です。
 そのためには、動物愛護の担当だけで抱えるのではなく、市町村福祉、地域包括支援センター、民生委員、獣医師、動物愛護団体などとつながる必要があります。

 また、未然防止の方法として、多頭飼育届出制度も検討すべきです。
 一定数以上の犬や猫を飼う場合に届け出てもらい、頭数が増え過ぎる前に助言や福祉的支援につなげる入り口です。
 飼い主を責めるための制度ではありません。もちろん、届出制度だけで解決するわけではありません。
 制度の周知や届け出た後に支援できる体制も必要です。
 それでも深刻化する前に、人と動物の暮らしに目を向ける仕組みとして、県として選択肢から外すべきではないと考えます。

【質問①】 動物の多頭飼育問題に対する県の取組方針について伺いたい。

 では、質問です。

 1点目、動物の多頭飼育問題に対する県の取組方針について。

回答:健康医療福祉部長(秋野桂)
  • 不適切な多頭飼育に起因する動物の多頭飼育問題は、飼育が困難になった場合、動物はもとより、周辺環境にも大きな影響を与えるため、早期発見、早期解決が重要になります。
  • このため、県では、国が示す「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン」に基づき、動物の飼育に不安や問題を抱えた飼い主が孤立しない環境づくりを推進するため、社会福祉関係者等を含めた多機関の連携体制を構築し、多頭飼育問題の早期発見や早期解決、さらには再発防止を図ることとしています。
  • また、動物愛護団体と連携して、飼い主からの相談体制を強化するほか、動物の適正飼養に関する普及啓発や譲渡の推進により、誰もが安心して適正な飼育ができる環境を整えることで、多頭飼育問題の未然防止に取り組んでいます。

【質問②】 社会福祉関係機関等と連携を図るための県の取組状況について伺いたい。

 2点目、社会福祉関係機関等と連携を図るための県の取組状況について。

回答:健康医療福祉部長(秋野桂)
  • 県では、多機関の連携体制を構築するため、令和7年度までに動物の多頭飼育問題に関する県民フォーラムを開催し、多頭飼育問題の背景や現状について共有したほか、「動物の多頭飼育問題を考える勉強会」を6圏域で計8回開催し、社会福祉関係者と動物愛護関係者が相互理解を図りました。
  • また、テレビやラジオのCMを活用し、譲渡動物の紹介や動物の適正飼養に関する普及啓発を行いました。
  • 今年度は、これまでの取組を継続するとともに、動物愛護の推進に係る施策に協力いただいている動物愛護推進員が飼い主からの相談に対応するための活動を積極的に支援し、連携体制を強化することとしています。

【質問③】多頭飼育問題の発生を未然に防止するため、多頭飼育届出制度を導入すべきと考えるが、県の見解は。

 3点目として、多頭飼育問題の発生を未然に防止するためにも、多頭飼育届出制度を導入すべきと考えますが、県の見解を伺います。

回答:健康医療福祉部長(秋野桂)
  • 多頭飼育届出制度は、一定数以上飼育する飼い主を把握することができる利点が想定される一方で、飼い主に届出義務を課すことが多頭飼育問題への対策として有効なものであるか、他自治体の状況も踏まえて慎重に判断する必要があると考えています。
  • 県としては、多頭飼育に至る前から社会福祉関係者等と連携し、動物の飼育に不安や問題を抱えた飼い主からの相談対応を行うなど、多頭飼育問題の早期発見、早期解決を図ることが重要であると考えています。

【再質問】訪問型の動物相談支援体制を検討すべきと考えるが、県の見解は。

 多頭飼育届出制度については、ほかの実施している自治体の動向などを見ながら、導入は鋭意検討していただければと思っています。

 多頭飼育の問題は、単なる動物の問題ではなく、人も関わっています。
 生活困窮、孤立、疾病、障がい、高齢化などが重なって表面化する福祉的な課題でもあります。
 深刻化してからでは、動物の保護にも、飼い主への支援にも、地域への影響にも大きな負担が生じます。
 だからこそ、飼い主を責めるのではなく、早い段階でいかに生活状況を把握し、相談につなげるか、その具体的な仕組みが必要ではないかと思います。

 神奈川県では「ペットリエゾン」という、訪問型の動物相談支援員の取組があります。
 委託された専任の獣医師が福祉関係機関を訪問し、ケースワーカーなどから状況を聞き取り、飼い主への助言や、必要に応じて支援対象者の家を訪問する仕組みです。

 本県においても、保健所、動物愛護センター、市町村、社会福祉関係機関等が連携して、必要に応じて訪問して相談につなげる訪問型の相談支援体制を検討すべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。

回答:健康医療福祉部長(秋野桂)
  • 神奈川県において、昨年度から獣医師職員が訪問型の相談支援員として福祉関係機関を訪問して、ペットの適正飼養に関する支援等を行っていることは承知しています。
  • 本県では、社会福祉関係者から動物に関する相談があった場合は、動物愛護センターの獣医師が現場を訪問した上で飼育状況を確認し、必要な支援を行っています。
  • 今後は、動物愛護推進員との連携強化を含めた多機関連携を推進するとともに、訪問型の相談支援制度に関しても情報収集を行っていきたいと考えています。


 今、県でも本当にいろいろなことに取り組んでいると思いますが、どうつないでいくのかが大切です。
 多頭飼育問題は「どうせ犬、猫の問題だ」と思われてしまうこともありますが、動物だけではなく、人も大きく関わっている問題です。
 多頭飼育問題が一体どういうものであるか、その周知も含めながら、引き続き取り組んでいただきたいと思います。

社会的養護を経験した若者への支援について

 次に、社会的養護を経験した若者への支援についてです。

 多頭飼育問題では、行政の目が届きにくいところに命と暮らしが重なることに触れました。
 ここからは、家庭の支えを十分に受けられず、社会に出ていく若者への支援についてです。

 虐待やネグレクト、家庭の様々な事情によって親元で暮らすことが難しい子供たちがいます。
 その子供たちを家庭だけに任せず、社会全体で支えるのが社会的養護です。
 けれども、施設や里親家庭を離れた後も、その子の人生は続きます。

 社会的養護を離れた若者をケアリーバーと呼ぶことがあります。
 施設や里親家庭を離れた後、住まい、進学、就労、生活費、人間関係、将来の不安にぶつかることもあります。
 同世代であれば親や家族に頼れることでも、それが難しくなってしまうのです。
 18歳になったから施設や里親家庭を離れたからといって、急に一人で何でも抱えられるようになるわけではありません。
 困ったときに電話できる人がいるのか、失敗したときにもう一度相談できる場所があるのか。本当の自立とは、誰にも頼らず、一人で生きることではないはずです。
 あなたは一人ではないんだとつながりを切らさない支援が必要です。

 県では、社会的養護自立支援拠点事業を通じ、退所前から若者とつながり、退所後も相談できる体制づくりを進めています。
 困ってから探すのではなく、退所前からつながっておく、そこにこの事業の意味があります。

 一方で、相談件数として見えるのは、支援につながることができた若者です。
 本当に困っている若者ほど相談できない、制度を知らない、頼ってよいと思えないこともあったりします。
 だからこそ、必要なときにもう一度つながれる支援をどう広げるのかが重要です。

【質問①】社会的養護自立支援拠点事業について、令和6年度以降の相談実績は。

 では、質問です。

 1点目、社会的養護自立支援拠点事業について、令和6年度以降の相談実績はどうなっているのか。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 県では、「社会的養護自立支援拠点事業つなぐ」を弘前市に開設し、社会的養護経験者の自立に向けた様々な支援を行っています。
  • 令和6年度の相談実績は、退所を控えた者に対する相談支援が30人、延べ502件、退所後の相談支援が27人、延べ362件となっています。
  • 令和7年度の相談実績は、退所を控えた者に対する相談支援が39人、延べ456件、退所後の相談支援が50人、延べ351件となっています。
  • 退所後の主な相談内容は、奨学金や自治体、公共料金等の各種手続に関すること、仕事や生活上の不安や悩みなどとなっています。

【質問②】社会的養護を離れたこどもが孤立せず、必要な支援につながり続けるため、県は社会的養護自立支援拠点事業をはじめとする退所したこどもへの支援をどのように進めていくのか伺いたい。

 2点目、社会的養護を離れた若者が孤立せず、必要な支援につながり続けるため、県は社会的養護自立支援拠点事業をはじめとする退所後支援をどのように進めていくのか伺います。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 県では、児童相談所において、施設等の退所を控えた子供が退所した後も、居住、家庭、交友関係、将来への不安等に関する生活上の問題や、求職上の問題等について社会的養護自立支援拠点事業へ相談することができるよう、入所中に支援コーディネーターにつなぎ、連携して対応しています。
  • また、社会的養護経験者の孤立を防ぎ、必要な支援につなげるため、社会的養護関係施設等に入所中の子供を対象とした自立に向けた準備に関する勉強会を実施するなど、子供同士が相互に交流する場を開設しています。
  • 県としては、引き続き、本拠点事業の利用促進を含め、対象者等へ広く周知するとともに、関係機関と連携を図りながら、社会的養護が必要な児童の自立を支援していきます。

【再質問】待ちの相談にとどまらない支援をどう進めるのか、県の取組と見解は。

 先ほどの答弁では、社会的養護自立支援拠点事業でかなりの相談件数があることが分かりました。
 ただ、数字に出ているのは実際に支援につながっている人、支援の入口に立てている人の件数です。
 本当に困っている人ほど自分から相談できなかったり「相談してよいのか分からない」「連絡しづらい」という若者もいるのではないかと思います。

 施設等を退所した後、進学、就職、一人暮らしが始まれば、住まい、お金、仕事、人間関係、日々の生活など、様々な不安を抱えることになります。
 そうした子供たちにどのようにアプローチするのか。
 待ちの相談にとどまらない支援をどう進めるのか、県の取組と見解を伺います。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 社会的養護自立支援拠点事業では、退所した子供に対して支援コーディネーターから定期的に連絡を取り、困ったときなどに気兼ねなく相談できるよう働きかけているほか、社会的養護経験者が集う交流の場を積極的に周知し、退所した子供がいつでも参加できる体制を整備しています。
  • また、社会的養護関係施設等においても、退所後のアフターケア等を行う自立支援専門員を配置するなどして、退所した子供と施設とのつながりを維持し、継続的に支援を行っています。
  • 県としては、引き続き、これらの取組を通して、退所した子供がいつでも気兼ねなく相談できるよう、関係機関と連携を図りながら自立を支援していきます。
  • 小笠原:やはり、いつでもつながれるような体制が大切です。最初はプッシュ型で連絡して、返事が来なかったとしても、何かあったときにつながれる。そのつながり、接続関係を切らさないように、ケアリーバーの若者たちを支えていっていただければと思います。

家事や育児に不安や負担を抱える子育て家庭への支援

 続いて、家事や育児に不安や負担を抱える子育て家庭への支援についてです。

 誰もが初めて親になります。
 最初から完璧にできる人はいません。眠れない日、不安な日、誰にも頼れず踏ん張る日があります。
 助けてと言いたくても、その助けを探す余裕すらない日もあります。
 子育て支援というと、保育料や医療費、給付金に注目が集まりがちです。
 それももちろん大切ですけれども、実際の暮らしでは、御飯、洗濯、睡眠、しんどいときに誰かが来てくれること、その一つ一つが暮らしを支えています。
 子育てを家庭の責任だけにしてはいけません。
 産後の家庭、独り親家庭、近くに頼れる親族がいない家庭にとって、家事や育児の支援は生活を支える命綱になることがあります。

 家事や育児に不安や負担を抱える家庭を訪問し、生活を支える子育て世帯訪問支援事業は、実施主体が市町村です。
 こども家庭庁の資料では、令和7年度、本県で実施予定の市町村は、40市町村中、13市町村、実施率32.5%にとどまっています。
 同じように助けを必要としていても、住む地域で支援につながれるかどうかに差が出てよいとは思いません。
 県として、実施状況をどう把握し、未実施の市町村にどう働きかけるのかが問われます。

 また、独り親家庭では、仕事、家事、育児、学校とのやり取り、将来の不安まで一人で抱え込みやすい現実があります。
 制度はあるだけでは届きません。困ったときに見つけられて、ためらわずに頼れる支援が必要です。

【質問①】より多くの市町村が子育て世帯訪問支援事業を実施すべきと考えるが、県の見解は。

 では、質問です。

 1点目、より多くの市町村が子育て世帯訪問支援事業を実施すべきと考えますが、県の見解は。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 市町村の訪問支援員が家事、子育て等に対して不安や負担を抱えた子育て家庭等を訪問し、相談に対応するとともに、家事、子育て等の支援を実施する子育て世帯訪問支援事業について、令和7年度末までに事業を開始した市町村は9市町ですが、各市町村では、このほかにも様々な形で子育て世帯への訪問支援を行っています。
  • 具体的には、新生児訪問指導及び乳児家庭全戸訪問事業による全戸訪問や、養育支援訪問事業による専門的相談支援、産後の母親の心身の回復と育児不安の軽減を図る産後ケア事業などのアウトリーチ型の支援を行っています。
  • また、乳幼児健診などの母子保健事業や子育て支援事業での関わりを契機に、妊娠期から子育て期にわたり、切れ目なく出産、産後を支える伴走型相談支援も行っています。
  • 県では、引き続き、市町村が子育て世帯訪問支援事業を含めたこれらの事業により、相談者のニーズに応じる体制を取れるよう支援していきます。

【質問②】家事や育児に負担を抱えやすいひとり親家庭の相談支援について、県の取組を伺いたい。

 2点目、家事や育児に負担を抱えやすい独り親家庭の相談支援について、県の取組を伺います。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 県では、平日の夜や隔週日曜日に電話相談できる「ひとり親家庭なんでもダイヤル」の設置や、県の母子・父子自立支援員の市町村窓口への派遣など、ひとり親家庭の方々がライフスタイルに応じて相談しやすい機会の確保に努めています。
  • また、ひとり親家庭が活用できる支援制度について取りまとめたパンフレットを作成し、児童扶養手当の現況届の提出時等に市町村窓口から配布しているほか、県公式LINEアプリからプッシュ型で支援制度の情報提供をしています。

物価高騰下における県立高校生の学校生活支援

 次に、物価高騰下における県立高校生の学校生活支援についてです。

 子育て家庭への支援を考える上で、教育にかかる負担も重要です。
 授業料が実質無償になっても、高校生活にかかるお金がなくなるわけではありません。

 ある調査では、青森県の県立高校の入学初年度にかかる授業料以外の費用は学校によって大きな差があり、平均で20万円を超える負担があるとされています。
 制服、教科書や副教材、学校徴収金、部活動など、様々な支出が積み重なります。
 高校生にとって学校は、ただ勉強する場所ではありません。
 友人と過ごし、部活動に励み、将来を考える大切な時間です。
 家庭の経済状況によって、その時間が細っていくことがあってはなりません。

 そして、見落とせないのが昼食の問題です。
 小・中学校では給食があり、青森をはじめ、給食無償化が進んでいますが、高校ではありません。
 高校では、弁当、購買、食堂、登校前のコンビニやパン屋など、状況は学校によって異なります。
 毎日弁当を用意する家庭の負担もあります。
 安価で栄養のある昼食にアクセスできるのか。これは、生徒の健康と学びを支える基盤です。
 授業料の無償化だけで高校生活の負担がなくなったわけではありません。
 学校徴収金や昼食提供体制について、実態を把握する必要があります。

【質問①】県立高等学校において、学校徴収金の保護者負担が増加していると考えるが、県教育委員会の認識は。

 そこで伺います。

 1点目、県立高等学校において、学校徴収金の保護者負担が増加していると考えますが、県教育委員会の認識はどうか。

回答:教育長(風張知子)
  • 文部科学省が実施している「子供の学習費調査」の結果によると、公立高等学校全日制課程における学級費、生徒会費、PTA会費、学用品費など、学校が1年間に徴収する経費の合計額の全国平均は、令和3年度の約8万6,000円から、令和5年度には約9万8,000円に増加しています。
  • 県教育委員会では、これまでも各県立学校長に対し、学校徴収金の単価等の見直しを行うなど、保護者等の負担の軽減に努めるよう要請しており、引き続き、負担軽減が図られるよう対応していきます。

【質問②】県立高等学校における昼食の提供体制について伺いたい。

 2点目、食堂、購買、弁当販売など、県立高等学校における昼食の提供体制について。

回答:教育長(風張知子)
  • 学校給食法等により、学校の設置者に給食実施の努力義務があるのは、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の夜間定時制課程のみであり、本県の県立高等学校においては、一部の夜間定時制課程を除き、給食を実施していません。
  • このため、県立高等学校の生徒の昼食については、原則として各自で準備することになりますが、多くの学校では、後援会等の協力を得ながら、いわゆる学食の営業、弁当販売などを行っています。
  • なお、学食の営業を行っているのは、令和8年6月現在において、県立高等学校46校中、23校です。

【質問③】授業料は実質無償となったが、保護者等の授業料以外の教育費負担も軽減すべきと考えるが、県教育委員会の見解は。

 3点目、授業料は実質無償となりましたが、保護者等の授業料以外の教育費負担も軽減すべきと考えます。
 県教育委員会の見解を伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、県立高等学校に在学する生徒が安心して教育を受けることができるよう、保護者等の授業料以外の教育費負担を軽減するため、国の補助金を活用し「奨学のための給付金」を給付しています。
  • この給付金は、教科書費や教材費、学用品費など、授業料以外の教育費に充てることができる返還不要の現金給付制度です。給付対象については、昨年度までは低所得世帯が対象となっており、昨年度に給付を受けた生徒数の割合は、県立高等学校の生徒数全体の約12%でしたが、本年度からは給付対象を中所得世帯まで拡充しており、より多くの生徒が給付を受けられるものと考えています。
  • なお、制度の充実を図るためには、国の財政支援が不可欠であることから、全国都道府県教育長協議会等を通じて、所得制限の緩和や給付額の改善などについて、国に要望しています。

【再質問】昼食に関する学校間の差を、県としてどのように受け止めているのか

 学食については、46校のうち23校ということで約半分との答弁でした。
 学校ごとに様々な事情があるのだろうと思います。
 高校は義務教育の給食とは違うため、全ての学校で同じ体制を整えるのは簡単ではありません。

 ただ、昼食を確保することは保護者の負担や生徒の学校生活にも関わる問題です。
 学校内で昼食を購入できる選択肢があるかどうかも、生徒や家庭にとって小さくない差です。
 そうした学校間の差を、県としてどのように受け止めているのか伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 多くの学校では後援会等の協力を得ながら対応いただいているところですが、県立高等学校の生徒の昼食については、原則として各自で準備することとなりますので、そのように考えています。

 実際、昔は学食があったけれども、なくなってしまった学校もあるでしょうし、場所によっては学食もない、購買もないところもあるのではないかと思います。
 学食と弁当販売のどちらもない学校はあるのでしょうか。

回答:教育長(風張知子)
  • 学食とか、弁当販売を行っていない学校は、46校中5校ございます。

 そうした学校もあるわけです。
 弁当を持っていく、途中でコンビニなどで買っていくというのも、なかなかの負担です。

 ほかの自治体では、学食を運営する事業者への支援、施設使用料の減免、キッチンカーの活用などの事例もあります。
 学校の実情に応じた支援の在り方について、各校で情報共有しながら、より充実した昼食の体制を整えていければと思います。

性の多様な在り方への理解促進

 次に、性の多様な在り方への理解促進についてです。

 全ての人が安心して学び、働き、暮らすためには、自分の存在を否定されない安心が必要です。
 性の在り方は、一つの物差しで決まるものではありません。
 身体の性、自分の性をどう感じているか、社会の中でどう表すのか、誰を好きになるのか。これらはそれぞれ別のもので、一つだけでその人の全てが決まるわけではありません。

 性の多様性とは、性的マイノリティーとされる方々だけの話ではありません。
 自分をマジョリティー(多数派)だと思っている人も含め、全ての人がそれぞれに多様な性の在り方を持っています。
 だからこそ、誰かの在り方を一つの言葉だけで決めてしまうことはできません。

 しかし、現実には、性的マイノリティーとされる方々が、学校、職場、家庭、医療、行政手続など、日々の様々な場面で生きづらさを抱えることがあります。
 言えない、相談できない、否定されるのではないかと不安になる、その積み重ねが孤立や自己否定につながることもあります。
 言えないまま苦しむ人をいないことにしてはいけません。

 国でも、先日、LGBT理解増進法に基づく初めての基本計画が閣議決定されました。
 また、今月28日には青森市で青森レインボーパレードが開催されます。
 自分らしく生きているとこの町で伝える人がいる。
 一方で、自分を隠したまま暮らしている人もいる。そのどちらもこの同じ青森で今生きています。
 だからこそ、安心して相談でき、否定されずに暮らせる社会をつくる必要があります。
 性の多様な在り方が尊重される社会とは、特別な誰かだけを守る社会ではありません。
 誰もが余計な我慢をしなくてよい社会です。
 その社会を言葉だけでなく、暮らしの中でどう実現していくのか、県の姿勢と具体の取組が問われています。

【質問①】性の多様な在り方が尊重される社会の実現が必要と考えるが、県の認識はどうか。

 では、質問です。

 1点目、性の多様な在り方が尊重される社会の実現が必要と考えますが、県の認識はどうか。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 令和4年2月に県が策定した第5次あおもり男女共同参画プランでは、「すべての人が個人として尊重され、自らの意思と選択に基づいて自分らしく生きられる、活力ある青森県」を大目標に掲げています。
  • 同プランでは、性的マイノリティーであることを理由に困難な状況に置かれる場合があることについて、人権の観点から理解の促進を図る必要があるとしており、県では、引き続き、性の多様な在り方が尊重される社会の実現に向けて取り組んでいきます。

【質問②】性の多様な在り方への理解促進に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。

 2点目、性の多様な在り方への理解促進に向けて、県はどのように取り組んでいるのか伺います。

回答:こども家庭部長(細谷健司)
  • 県では、性の多様な在り方への理解促進を図るため、基礎知識をまとめたパンフレットを作成し、県内の企業や大学、短期大学、専門学校などに配布しているほか、企業、県及び市町村職員等を対象とした研修会を開催しています。
  • さらに、今年度は、新たに高校生向けの男女共同参画に関するパンフレットに性の多様な在り方についてのページを設け、県内の高校に配布したほか、青森県男女共同参画センターに性的マイノリティ専用相談窓口を開設し、当事者や関係者の方が相談しやすい体制づくりの充実に努めています。

学校における性的マイノリティーとされる児童生徒への対応

 続いて、学校における性的マイノリティーとされる児童生徒への対応についてです。

 性の多様性を大切にするということは、学校の中で具体的な場面として問われます。
 制服、トイレ、更衣室、呼び方、健康診断、宿泊行事、どれも子供の毎日に関わるものです。
 大人と違い、子供にとって学校は毎日通わなければならない逃げ場の少ない空間です。
 そこで安心できないということは、学校生活そのものが苦しいものになるということです。

 例えば、男女別のトイレしかないことで不安や負担を抱える子供がいます。
 これは、単なる設備の問題ではなく、安心して学校にいられるかどうかの問題です。
 大事なのは、子供本人が安心できる選択肢を学校の中に用意することです。
 本人の意思やプライバシーを守りながら一緒に考えることです。
 そのためには、個々の学校や先生だけに判断を委ねず、県教育委員会としても、対応の考え方や相談できる体制を示す必要があるとも考えます。

 また、子供たちが性の多様な在り方を正しく知る機会も必要です。
 知らないことがからかいや決めつけにつながることがあります。
 誰も傷つけず、相談できる学校にするためにも、学びの充実が必要です。

【質問①】教職員が性的マイノリティーとされる児童生徒の個別の事案に応じた適切な対応を行うための県教育委員会の取組について伺いたい。

 では、質問です。

 1点目、教職員が性的マイノリティーとされる児童生徒の個別の事案に応じた適切な対応を行うための県教育委員会の取組について。

回答:教育長(風張知子)
  • 県教育委員会では、文部科学省が作成した性的マイノリティーに係る児童生徒への対応等に関する教職員向け資料を各学校に配付するとともに、生徒指導関係会議において、性的マイノリティーとされる児童生徒に対する服装やトイレ等の配慮について指導、助言することにより、学校が適切に対応できるよう努めています。
  • また、個別の事案に適切に支援ができるようにするため、市町村教育委員会や県立学校からの求めに応じて、児童生徒の心理に関して専門的な知識及び経験を有するスクールカウンセラーを派遣することとしています。

【質問②】学校における性に関する教育の充実を図るため、県教育委員会ではどのように取り組んでいるのか。

 2点目、学校における性に関する教育の充実を図るため、県教育委員会ではどのように取り組んでいるのか伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 学校における性に関する教育は、児童生徒の発達段階に応じて生命や人格の尊重、男女平等の精神の下に、自己や他者を尊重する態度を育み、望ましい人間関係を築くことができる資質や能力を育てること等を目標とし、学校の教育活動全体を通じて行う集団指導のほか、課題に応じた個別指導を行っています。
  • このため、県教育委員会では、性に関する教育に携わる全教職員がその意義や児童生徒が直面する性に関する課題などについて理解を深められるように、県医師会と連携し、各種研修会を実施するとともに、県内6地区に12名の産婦人科学校医を配置し、全ての県立学校の児童生徒に対して性に関する健康相談や保健指導を行うことができるようにしています。
  • また、高校生等を対象に、性に関する正しい知識の普及や性的マイノリティーなどに関する理解促進に向け、性に関する講演会を開催し、自他の生命や人格を尊重する態度、正しい行動選択について考えさせるなど、学校における性に関する教育の充実に努めています。

【再質問】児童生徒が当事者や支援者の声に触れ、自分事として考える学びの機会や声を聞く場を充実させること、また、本人の意思を尊重した必要な調整が学校で行われるような考え方や相談先の情報提供を進めていくべきだと思いますが、見解は。

 理解促進や研修をされているのは分かりますが、届き切らない現実もあります。

 御本人と保護者の了承を得て、個人が特定されない範囲でお話しします。
 県内に、身体の性と性自認に違和感を抱える生徒がいます。
 学校で安心して使えるトイレがなく、男女の表記があるトイレに心理的な抵抗を覚え、多目的トイレもないため、登校してから部活動が終わるまでずっとトイレを我慢し、家に帰ってようやく用を足すことがあるそうです。
 周囲から性別について「どっちだ」と言われたり、部活動や大会の場面で心ない言葉を向けられたりすることもある。

 これは都会やどこか遠くの話ではなく、実際にこの青森で起きている話です。
 本人は特別扱いを望んでいるわけではありません。
 ただ、必要以上に自分が何なのかを説明し続けたり、我慢し続けたりしなければならない。

 県教育委員会として、児童生徒が当事者や支援者の声に触れ、自分事として考える学びの機会や声を聞く場を充実させること、また、本人の意思を尊重した必要な調整が学校で行われるような考え方や相談先の情報提供を進めていくべきだと思いますが、見解を伺います。

回答:教育長(風張知子)
  • 性的マイノリティーとされる生徒が求める支援は、当該生徒が有する違和感の強弱などに応じて様々であることから、学校として先入観を持たず、その時々の生徒の状況等に応じた支援を行うよう、これまでも指導、助言しておりますが、今後とも指導、助言を徹底してまいります。

 一律に「こういう場合はこうする」と当てはめることは難しいと思います。
 ただ、実際に青森にいるんです。単なる理念の話ではなく、具体的に困っている人たちがいます。

 トイレを含め、社会や環境が追いついていないこともあると思いますが、当事者やそうした経験をしてきた人の声を児童生徒が聞く場を増やすだけでも、受け止め方は変わると思います。
 そうしたことも県教育委員会として考えていただきたいと思います。

いのちと希望を支える県政(自殺対策・少子化対策)

 最後に、命と希望を支える県政についてです。

 ここまで、青森の魅力をどう伝えるか、受け継いできたものをどう残すか、地域の未来をどうつくるか、困難を抱える人をどう支えるかについて伺ってきました。
 一見、別々の話に聞こえるかもしれませんけれども、私の中では全て一つの問いです。
 青森で暮らす人を一人にしない、苦しさを自己責任にしない、生きていていいとちゃんと思える県にする、そのために県政は何ができるのかという問いです。

 227人。
 人口動態統計による、昨年、2025年の青森県の自殺者数です。
 自殺死亡率は、人口10万人当たり20.0となり、全国で最も高くなりました。
 自殺は個人の弱さの問題ではありません。
 健康、生活、仕事、家庭、孤独、介護、いじめ、差別、将来不安、幾つもの苦しさが重なり、支えが届かないまま追い込まれていく人がいます。
 相談窓口を置くだけでは足りません。
 福祉、医療、労働、教育、孤独・孤立対策まで含めて県政全体で受け止めるべき課題です。

 また、同じ調査で青森県の出生数は4,737人となり、初めて5,000人を下回りました。
 合計特殊出生率も1.10となり、過去最低を更新です。
 結婚するかどうか、子供を持つかどうかは一人一人の自由な選択です。
 政治や行政が特定の生き方を押しつけてはなりませんけれども、望んでいるのに、経済的な不安、仕事との両立、住まい、教育費、孤立などによって、結婚や出産、子育てを諦めざるを得ないとすれば、それは社会の課題です。
 少子化対策は、子育て支援だけでは足りません。
 若者が青森で暮らし続けられるのか、働きがいのある仕事があるのか、自分の人生を自分で選べる社会になっているのか、そこまで踏み込む必要があると思います。

 227と4,737。
 意味の違う数字ではありますが、どちらも青森で生きる人たちの現実を映しています。
 一人一人の暮らしがあります。単なる数字ではありません。
 眠れない夜を過ごしている人、誰にも相談できず、踏ん張っている人、将来への不安で諦めかけている人がいるかもしれません。
 県政は、声にならない声にどれだけ近づけるのか、見えにくい苦しさをどれだけ早く受け止められるのか、青森で生きることを諦めなくていいと思える県にできるのか、これが問われています。

【質問①】令和7年人口動態統計の概数において、本県の自殺死亡率が全国で最も高くなったことに対する県の受け止めと、今後の自殺対策をどのように進めていくのか。

 では、最後の質問です。

 1点目は、自殺対策として、令和7年人口動態統計の概数において、本県の自殺死亡率が全国で最も高くなったことに対する県の受け止めと、今後の自殺対策をどのように進めていくのか。

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 令和7年の本県の自殺死亡率については、私としても非常に残念な結果と重く受け止めております。これまで以上に市町村や関係団体等と連携しながら、高い自殺死亡率の背景にある複合的な課題に対し、取組を進めてまいります。
  • 具体的には、「いのち支える青森県自殺対策計画」に基づき、年代や属性に応じた対策として、高齢者向けに介護支援相談員等を対象としたゲートキーパーの育成、子供・若者世代向けにSNSを活用した相談窓口の設置、生活困窮者向けに市町村単位の包括的な支援体制の構築に向けた職員の資質向上等に重点的に取り組んでまいります。
  • また、生きづらさを感じている県民の方々が一人で悩まず相談できるよう、様々な分野の相談窓口を広く紹介することなどにより、社会全体の自殺リスクの低減を図ってまいります。

【質問②】令和7年人口動態統計の概数において、本県の出生数が過去最少及び合計特殊出生率が過去最低となったことに対する県の認識と、今後の少子化対策をどのように進めていくのか。

 2点目は、少子化対策として、令和7年人口動態統計の概数において、本県の出生数が過去最少及び合計特殊出生率が過去最低となったことに対する県の認識と、今後の少子化対策をどのように進めていくのか伺います。

回答:知事(宮下宗一郎)
  • 現在の少子化の流れは、過去50年間の大きな流れの延長線上にあるものであり、対策を講じたとしても、今後、さらに数十年間は少子化が続くことは避けられない、極めて厳しい情勢にあると認識しております。
  • 本県における少子化は、若年女性の県外流出や未婚化が影響していることが考えられますが、我が国全体の課題でもあり、容易に解決できるものではありません。この厳しい現状認識を県民全体で共有しながら、こども・子育て「青森モデル」に掲げる高い目標に挑戦していく必要があります。
  • 少子化の大きな流れを変えていくため、県、市町村、企業、団体がそれぞれの立場で主体的に役割を担い、国の支援を得つつ、相互に連携しながら、社会全体がこの課題を自分事として捉え、行動してもらえるよう、こども・子育て「青森モデル」の取組を着実に進めてまいります。


 以上で、壇上からの質問を終わります。

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